- 著者
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深谷 裕
- 出版者
- 一般社団法人 日本社会福祉学会
- 雑誌
- 社会福祉学 (ISSN:09110232)
- 巻号頁・発行日
- vol.55, no.1, pp.36-48, 2014-05-31 (Released:2018-07-20)
- 被引用文献数
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本研究の目的は,シンボリック相互作用論における役割アイデンティティを鍵に,犯罪を契機として,加害者家族の生活全般における自己や状況に対するコントロール感がいかに変容するのかを明らかにすることである.本研究を通して,加害者家族の多様な経験を捉える視座として,役割アイデンティティ概念がもつ可能性を提示した.具体的な方法として,まず,二つの事例について,対象者が自らのライフストーリーを語る際に採用している役割アイデンティティに注目した.次に,各役割アイデンティティにおけるコントロール感の変化を考察した.さらに,コントロール感の変化を左右する心理的および社会的要因を検討した.情報の非対称性を背景に,対象者が使い分けるどの役割アイデンティティにおいても,事件発覚後のコントロール感は弱まる傾向にあった.しかし対象者は困難な経験をしながらも,他者との相互行為を通して,お互いに理解を深めたり生活の質を上げていた.