著者
原田 美紀 猪子 芳美 清水 公夫 森田 修己
出版者
Japan Prosthodontic Society
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 = The journal of the Japan Prosthodontic Society (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.733-740, 2004-10-10
被引用文献数
5 5

目的: 本研究は, 閉塞型睡眠時無呼吸症候群 (OSAS) 患者に下顎前方位型口腔内装置 (PMA) を用い, 切歯点の移動と口腔咽頭腔前後径が直接関係するという仮説を検証し, PMAの治療効果を示す睡眠時の動脈血酸素飽和度を検討することである.<BR>方法: OSAS患者19名にPMAを適用し, PMA装着前と装着時における側方頭部X線規格写真撮影と動脈血酸素飽和度測定を行い, 側方頭部X線規格写真より, 口腔咽頭腔前後径 (PNS-AS, SPAS, MAS, IAS) と切歯点の移動量を計測し, 動脈血酸素飽和度より動脈血酸素飽和度低下指数 (ODI) 4%値および晦中飽和酸素濃度90%未満低下時間比 (CT<SUB>90</SUB>) を算出した.分析は, 切歯点移動量と咽頭腔前後径変化量についてはSpearmanの順位相関を, PMA装着前と装着時のODI4%値, CT<SUB>90</SUB>, 咽頭腔前後径についてはWilcoxonの符号付順位検定を用いて検討した.<BR>結果: 切歯点の前方移動量と口腔咽頭腔前後径のIAS部増加量との間に相関が認められた (r=0.61, p=0.01).PMA装着時のODI4%値とCT<SUB>90</SUB>は有意に減少し (p<0.01), 咽頭腔前後径のSPAS, MAS, IASは, 有意に増加した (P<0.01).<BR>結論: OSAS患者に対するPMA装着による下顎前方移動は, 口腔咽頭腔前後径を拡大させ, 動脈血酸素飽和度の改善に寄与することが示された.
著者
猪子 芳美 河野 正己 清水 公夫
出版者
日本歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

「研究の目的」睡眠中、舌筋(特にオトガイ舌筋)が弛緩することで舌根沈下が起き、睡眠時無呼吸のトリガーとなることが知られている。本研究は、覚醒時のオトガイ舌筋をトレーニングで強化させることで、睡眠中の筋弛緩を減じ、無呼吸の発生を抑制させることによって睡眠時無呼吸の重症度を減少させる新たな治療方法の構築および臨床への応用を目指す。「研究実績」①舌の筋力測定と分析:夜間のいびきや日中の眠気から睡眠外来に睡眠時無呼吸を疑い来院した患者に対して研究の協力を依頼し、舌圧測定器を用いて舌の筋力計測を行なった。その後、終夜睡眠ポリグラフ検査を行なった。舌圧(舌の筋力)と睡眠時無呼吸の重症度の解析を行ない、舌筋のトレーニングが必要な対象者の選択を行なった。②舌筋のトレーニング:舌圧値(舌の筋力)が健常者に比べて低下し、睡眠時無呼吸の検査データとの関係から舌の筋肉トレーニングが必要と思われる対象者に対し、研究の必要性を説明し、同意を得られた者について研究を継続した。トレーニング前のデータ収集としてウオッチパッドを用い、睡眠の簡易検査を施行することによってトレーニング前の状態を把握した。その後、対象者の筋力に応じて、適切な舌トレーニング器具(ペコパンダ)を選択し、ペコパンダを用いた毎日のトレーニングを開始した。トレーニング後に再度、ウオッチパッドを用いて睡眠の簡易検査を行い、トレーニングの成果を評価し、その結果について国内外学会において発表を行い、研究論文の投稿を行う。
著者
岡林 昌彦 清水 公夫 森田 修己
出版者
Japan Prosthodontic Society
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 = The journal of the Japan Prosthodontic Society (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.179-188, 2001-02-10
参考文献数
17
被引用文献数
9 3

目的: 本研究の目的はカスタムメイドのラミネートマウスガードの設計, 製作にかかわる基準を提言することにある.<BR>方法: 9種類のシート材を用いて, 厚さ, 吸水性, 定荷重下における変形ならびに成形後のマウスガードの各部の厚さを評価した.<BR>結果: 1. 各製品ともにシート材は均一な厚さであった. 2. 吸水率は, D20 (Erkodur2.00mm) が最大で, F4 (Erkoflex4.00mm) が最小であり, Es (Essix) とPr (Pro-form) は同程度であった. 3. 定荷重による変形率は浸漬によってErkodurは増加し, Erkoflexは減少したが, EsとPrでは浸漬による影響は認められなかった. 4. 成形後の厚さは, すべての材料, 積層成形, 組合せ成形において減少し, Erkodur, Erkoflex, ErkoflexとErkodur, ならびにErkoflex間の組合せ成形では, 咬合面部が10~20%であり, 他の部位は30~46%であった. 一方, Es, Prでは口蓋側歯面正中部は2~4%であり, 他の部位は26~54%の範囲で減少した.<BR>結論: 本論文は, マウスガードシート材の吸水性, 浸漬による硬さへの影響ならびに成形後のマウスガード各部の厚さを定量的に明らかにし, カスタムメイドのラミネートマウスガードの設計, 製作に関する有用な示唆を与えている.
著者
横堀 正純 清水 公夫 渡辺 秀昭 小司 利昭 森田 修己
出版者
社団法人日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.249-254, 1996-04-01
被引用文献数
4

補綴臨床やスポーツ歯学において全身運動時における咬合接触や咬合力についての研究はきわめて重要と考えられるが,いまだ十分に明らかにされていない.そこで本研究は,握力発揮時にかみしめを自覚している男性を選択し,デンタルプレスケールシステムを用いて握力発揮時と最大かみしめ時の咬合面積と咬合力を測定し,比較検討した.この結果,握力発揮時のかみしめは最大かみしめ時とほぼ同じかみしめを行っている人が多いが,一部の人はこれと異なったかみしめを行っており,個人差が大きいという知見が得られた.