著者
渡辺 愛子 坂口 博信
出版者
日本比較生理生化学会
雑誌
比較生理生化学 (ISSN:09163786)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.20-31, 2006-01-30 (Released:2007-10-05)
参考文献数
93

スズメ目の鳴禽類, オウム目, ハチドリ目に属する鳥は, 音声学習によってさえずり (歌) を発達させ, 種内のコミュニケーションに用いている。鳴禽類の雄の幼鳥は, 成長期に手本となる鳥の歌を聞いて記憶し練習することで歌を完成させる。この練習時には, 自分のさえずる歌が学習目標となる歌の手本にどれだけ近づいたかを常にモニターするために, 聴覚フィードバックが必要であることが明らかにされている。さらに, 成鳥が完成後の歌を維持するためにも, 同じ理由で聴覚フィードバックが必要であることが, 筆者等の研究も含めた近年の報告により明らかになってきた。成鳥での聴覚フィードバックの重要性については, 鳴禽類の種で異なる結果が報告され, いまだに不明な点が多い。そこで本稿では, 筆者等の研究結果を交え, まず行動レベルで聴覚剥奪後の歌の特徴を比較して, 成鳥の歌の維持における聴覚フィードバックの必要性について検討した。次に, 聴覚剥奪によって成鳥の歌が変化する時に起こる脳内の変化を調べ, 聴覚フィードバックによって制御される成鳥の歌維持の脳内機構についても考察した。
著者
山中 隆嗣 渡辺 愛子 中塚 伸一 庄田 裕紀子
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.82-86, 2010-02-28 (Released:2011-04-26)
参考文献数
17
被引用文献数
1

58歳,男性。17年ほど前より右大腿部に移動性の皮下腫瘤を自覚し,夏には鶏卵大まで増大し,冬には縮小していた。その特異な症状より寄生虫感染を疑った。摘出前に超音波検査を施行し,摘出時には生きた虫体を観察することができた。病理組織学的には,脂肪組織内に好酸性の外被に覆われた粗な内部構造を有する虫体と,軽度の好酸球浸潤を伴う肉芽腫反応を認める結節が確認され,ELISA 法の結果から,17年という比較的長期間寄生したマンソン孤虫症と診断した。
著者
渡辺 愛子
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

本研究は、戦後冷戦期、とくにイギリスの国際交流機関であるブリティッシュ・カウンシルが旧ソ連・東欧諸国に向けて展開した文化外交において、イギリスが自国をどのように表象することで効果的な外交戦略を達しえたのかを、歴史実証的かつ理論的に解明しようとするものである。今年度とくに集中的に資料収集した国は、チェコスロバキアである。同国は、戦前より共産主義の隆盛に対して比較的寛容であった一方で、第二次世界大戦中、ベネシュ亡命政権がロンドンに樹立されたこと、またミュンヘン会談後、イギリス国民の同国に対する同情心が高まったことから両国の関係に変化が生じ、戦争直後の1947年、東欧諸国で唯一、イギリスと文化協約を締結した。しかし、1948年2月のクーデター勃発によりソ導のチェコスロバキアへの圧力が増大した結果、50年の協約破棄にいたっている。夏の出張では、春にひきつづき、英国公文書館において、ブリティッシュ・カウンシルおよびイギリス外務省の資料収集を行った。さらに、これまでに収集したチェコスロバキア関連の文書をもとに、学術論文を完成し国際的な学術雑誌へ投稿することを目標に、ロンドン大学図書館において執筆作業を続けた。本論文では、ソ連による政治的・軍事的統制が強まるなかで、マスメディアによるイギリスへの虚偽報道、スパイ容疑で秘密警察に摘発されるカウンシル職員の動向などを考察し、同時に、イギリスが「文化」を通じてどのようにソ連的共産主義に対抗し、西側の影響力を浸透させようかと画策する事情を論じた。拙論は現在、冷戦史関係の学術雑誌に投稿中であるが、刊行済みの以下の論考でも、この問題に触れている。
著者
渡辺 愛子 坂口 博信
出版者
日本比較生理生化学会
雑誌
比較生理生化学 (ISSN:09163786)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.20-31, 2006-01-30
参考文献数
93

スズメ目の鳴禽類, オウム目, ハチドリ目に属する鳥は, 音声学習によってさえずり (歌) を発達させ, 種内のコミュニケーションに用いている。鳴禽類の雄の幼鳥は, 成長期に手本となる鳥の歌を聞いて記憶し練習することで歌を完成させる。この練習時には, 自分のさえずる歌が学習目標となる歌の手本にどれだけ近づいたかを常にモニターするために, 聴覚フィードバックが必要であることが明らかにされている。さらに, 成鳥が完成後の歌を維持するためにも, 同じ理由で聴覚フィードバックが必要であることが, 筆者等の研究も含めた近年の報告により明らかになってきた。成鳥での聴覚フィードバックの重要性については, 鳴禽類の種で異なる結果が報告され, いまだに不明な点が多い。そこで本稿では, 筆者等の研究結果を交え, まず行動レベルで聴覚剥奪後の歌の特徴を比較して, 成鳥の歌の維持における聴覚フィードバックの必要性について検討した。次に, 聴覚剥奪によって成鳥の歌が変化する時に起こる脳内の変化を調べ, 聴覚フィードバックによって制御される成鳥の歌維持の脳内機構についても考察した。