著者
桑江 朝比呂 吉田 吾郎 堀 正和 渡辺 謙太 棚谷 灯子 岡田 知也 梅澤 有 佐々木 淳
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1, pp.10-20, 2019 (Released:2019-06-20)
参考文献数
34
被引用文献数
10

浅海生態系における気候変動の緩和機能(大気中二酸化炭素(CO2)の吸収機能や生態系内への炭素貯留機能)が注目され始めているものの,その全国推計例はない.そこで本研究では,気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のガイドラインに倣い,生態系内の炭素貯留量の増加量を大気中CO2の吸収量と定義し,国内外の既往文献をベースにデータ解析した.そして,我が国の浅海生態系(海草藻場,海藻藻場,マングローブ,干潟)における年間CO2吸収量の全国推計を試みた.その結果,現状におけるCO2吸収量の平均値は132万トンCO2/年,上限値は404万トンCO2/年と見積もられた.このような現状値あるいは将来値の推計を進めていくことは,地球温暖化対策計画における吸収源対策に浅海生態系を新たに定める検討や,浅海生態系の価値評価において有用であると考えられる.
著者
赤塚 真依子 高山 百合子 Edwin MUCHEVBE 伊藤 一教 渡辺 謙太 桑江 朝比呂 源 利文
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.I_943-I_948, 2020 (Released:2020-11-04)
参考文献数
10

海草場の変化を捉えるモニタリング方法として環境DNAの活用を目指し,海草量の季節変化に伴うeDNA量の変化を把握することを目的に,水槽に生育するアマモを対象に15ヵ月の生育観察と環境DNA分析を実施した.また,実海域でのモニタリングに向けて,潮汐による流れの変化がある環境下で,季節変化の差に対して採水地点や同時刻に採水した差がどの程度であるのか調査した.15ヵ月のモニタリングでは,環境DNA量が夏に高い値を示し秋に低下する周期性を確認でき,海草が流出する時期に高くなる可能性が明らかになった.実海域調査では,同時刻に採水した1Lの分析で検出の有無が混在する結果となったが,採水量や分析量を増量し,阻害影響を低減することで定量下限を超えた値の検出が可能となり,実海域調査への適応が期待できる結果を得られた.