著者
川本 静香 渡邉 卓也 小杉 考司 松尾 幸治 渡邉 義文 サトウ タツヤ
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.1-12, 2014-07-30 (Released:2014-08-26)
参考文献数
30
被引用文献数
1

本研究では,うつ病患者と類似した抑うつ症状を持つ非臨床群を抽出し,その特徴を検討した。うつ病患者および非臨床群のBDI-II項目得点に対し,k-meansクラスター分析を行った結果,抑うつ状態が軽症の非臨床群の全員と中等症の非臨床群の一部の者が非抑うつクラスターへ分類された。一方,残りの中等症の非臨床群と重症の非臨床群の全員が抑うつクラスターへ分類された。このことから,軽症の非臨床群の抑うつ症状は,重症度の高いうつ病群とは類似性がないことが明らかになった。また,重症の抑うつ状態にある非臨床群と重症度の高いうつ病群には類似性が見られた。ただし,中等症の非臨床群については,その一部の者に重症度の高いうつ病群との類似性が認められる一方で,見られない者も確認された。
著者
江頭 一輝 松尾 幸治 渡邉 義文
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.207-211, 2011 (Released:2017-02-16)
参考文献数
19

修正型電気けいれん療法(m-ECT)はうつ病をはじめ種々の精神疾患および一部の神経疾患に対し有効な治療法である。m-ECTのさらなる普及およびECTの治療効果や副作用を適切に議論するためにm-ECT施行方法の標準化が求められているが,発作の有効性を評価するための発作時脳波評価の具体的な基準は,われわれの知る限り報告されていない。欧米では発作時脳波スケールを用いた発作時脳波と治療効果の関連について,その性状が良いと治療効果も高いという所見が多くみられている。われわれは,発作時脳波スケールを用いたECT施行アルゴリズムを作成し,このアルゴリズムの臨床的有用性について後方視的検討を行った。アルゴリズムを導入した群は導入しなかった群と比べて少ないECTセッション数,短いECT期間で改善しており,本アルゴリズムの臨床的有用性が示唆された。
著者
奥田 俊伸 綿貫 俊夫 松原 敏郎 渡邉 義文
出版者
医学書院
雑誌
精神医学 (ISSN:04881281)
巻号頁・発行日
vol.59, no.12, pp.1135-1139, 2017-12-15

抄録 進行性核上性麻痺(PSP)では多彩な精神症状がみられることがある。今回我々は,多彩な精神症状を伴い前医で緊張型統合失調症として加療されていたPSP患者の1例を経験した。神経症状に加えて特徴的な画像所見からPSPであると診断し,L-dopaの投与を行ったところ,パーキンソニズムに効果はみられたものの精神症状が悪化した。そのためドーパミンパーシャルアゴニストであるaripiprazoleに切り替えたところ,パーキンソニズムと精神症状のいずれにも効果が認められた。PSPの治療はパーキンソニズムと精神症状の両方に配慮する必要があることから,aripiprazoleが効果的な薬剤である可能性が示唆された。