著者
石盛 真徳 小杉 考司 清水 裕士 藤澤 隆史 渡邊 太 武藤 杏里
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.153-164, 2017 (Released:2017-04-27)
参考文献数
36
被引用文献数
1

高校生以上の子どもを2人もつ223組の中年期の夫婦を対象に調査を行い,夫婦間のコミュニケーション,共行動,夫婦間の葛藤解決方略といった夫婦関係のあり方が夫婦関係満足度,家族の安定性,および主観的幸福感にどのような影響を及ぼしているのかをマルチレベル構造方程式モデリングによって検討した。夫婦関係満足度への影響要因の分析では,夫と妻が別個に夫婦共行動の頻度が高いと認識しているだけでは個人レベルでの夫婦関係満足度の認知にしかつながらず,夫婦のコミュニケーションが充実していると夫と妻の双方がともに認知してはじめて2者関係レベルでの夫婦関係満足度を高める効果をもつことが示された。家族の安定性への影響要因の分析では,個人レベルで葛藤解決において夫婦関係外アプローチに積極的であることは,個人レベルでの家族の安定性を高く認知することにつながるが,2者関係レベルで,夫婦が一致して夫婦関係外アプローチに積極的であることは,家族の安定性を低く認知することにつながるという結果が得られた。主観的幸福感への影響要因の分析では,夫婦関係満足度の高いことは,個人レベルにおいて正の関連性を有していた。また,夫婦間の解決において夫婦関係外アプローチに積極的であることは個人レベルでのみ主観的幸福感を高めることが示された。
著者
清水 裕士 小杉 考司
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.132-148, 2010 (Released:2010-02-20)
参考文献数
35

本論文の目的は,「人々が対人行動の適切性をいかにして判断しているのか」について,一つの仮説を提案することである。本論文では,人々が対人行動の適切性をある原則に基づいた演繹によって判断しているものと捉え,演算の依拠する原理として,パレート原理を採用する。次に,Kelley & Thibaut(1978)の相互依存性理論に基づいて,パレート解を満たす葛藤解決方略を導出した。さらに,これらの理論的帰結が社会現象においてどのように位置づけられるのかを,Luhmann(1984)のコミュニケーション・メディア論に照合しながら考察した。ここから,葛藤解決方略は,利他的方略・互恵方略・役割方略・受容方略という四つに分類されること,また,方略の選択は他者との関係性に依存することが示された。そして,このような「行動の適切性判断のための論理体系」をソシオロジックとして定式化し,社会的コンピテンス論や社会関係資本論などへの適用について議論した。
著者
林 幸史 小杉 考司
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.38-46, 2018-07-31 (Released:2018-08-01)
参考文献数
29

This study attempted to investigate the differences in tourists’ perceptions of destination images based on their past travel experiences. Tourism research suggests that past travel experiences affect present tourist behavior in terms of travel career and number of visits. In this study, we consider the tourist as a person seeking mastery through travel experiences and use measures of guest experience from 47 prefectures in Japan. Five hundred respondents living in Osaka were asked to complete a questionnaire via the Internet. Respondents had to identify 10 destination images and write about their travel experiences in as many of the 47 prefectures as they had visited. The main results were as follows: (1) respondents were classified into four clusters according to their travel experiences, (2) tourists who had traveled to more prefectures had an image of the destination based on geographical location and destination characteristics, and (3) tourists who had previously visited a particular destination and had been to more prefectures had a clear image of the destination. Based on these results, the process through which tourists develop expertise was discussed.
著者
小杉 考司
出版者
日本基礎心理学会
雑誌
基礎心理学研究 (ISSN:02877651)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.167-173, 2019-03-31 (Released:2019-05-18)
参考文献数
24

In this paper, I clarify the problem of null hypothesis significance testing along with Kruschke (2014) and point out five advantages of Bayesian statistics. First, it is not necessary to convert data for NHST. Second, additional assumptions or corrections are not required. Third, there is no need for any preliminary design of the verification plan. Fourth, the Bayesian approach allows an intuitive interpretation of results. Fifth, the sample size does not cause critical problems. Beyond these advantages, Bayesian statistics can be used alongside frequentism and likelihoodism methods. Finally, I argue it is necessary in science communication to clearly express the researcher’s premise as a prior distribution or likelihood function.
著者
清水 裕士 小杉 考司
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.132-148, 2010

本論文の目的は,「人々が対人行動の適切性をいかにして判断しているのか」について,一つの仮説を提案することである。本論文では,人々が対人行動の適切性をある原則に基づいた演繹によって判断しているものと捉え,演算の依拠する原理として,パレート原理を採用する。次に,Kelley & Thibaut(1978)の相互依存性理論に基づいて,パレート解を満たす葛藤解決方略を導出した。さらに,これらの理論的帰結が社会現象においてどのように位置づけられるのかを,Luhmann(1984)のコミュニケーション・メディア論に照合しながら考察した。ここから,葛藤解決方略は,利他的方略・互恵方略・役割方略・受容方略という四つに分類されること,また,方略の選択は他者との関係性に依存することが示された。そして,このような「行動の適切性判断のための論理体系」をソシオロジックとして定式化し,社会的コンピテンス論や社会関係資本論などへの適用について議論した。<br>
著者
林 幸史 小杉 考司
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
pp.1627, (Released:2018-06-15)
参考文献数
29

This study attempted to investigate the differences in tourists’ perceptions of destination images based on their past travel experiences. Tourism research suggests that past travel experiences affect present tourist behavior in terms of travel career and number of visits. In this study, we consider the tourist as a person seeking mastery through travel experiences and use measures of guest experience from 47 prefectures in Japan. Five hundred respondents living in Osaka were asked to complete a questionnaire via the Internet. Respondents had to identify 10 destination images and write about their travel experiences in as many of the 47 prefectures as they had visited. The main results were as follows: (1) respondents were classified into four clusters according to their travel experiences, (2) tourists who had traveled to more prefectures had an image of the destination based on geographical location and destination characteristics, and (3) tourists who had previously visited a particular destination and had been to more prefectures had a clear image of the destination. Based on these results, the process through which tourists develop expertise was discussed.
著者
小杉 考司 藤沢 隆史 水谷 聡秀 石盛 真徳
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.16-25, 2001
被引用文献数
1

本研究は, ダイナミック社会的インパクト理論の一連の研究における, 空間的収束という結果をうみだす要因を特定することを目的としている。そのため, ダイナミックインパクト理論で用いられている, シミュレーションモデルに含まれている変数の効果を検証するべく四つのモデルを作った。派閥サイズモデルや累積的影響モデルでは二種類の連続変数をもち, 影響力の強さに個人差が付与されていたが, 本研究のモデルAおよびBは一種類の強度変数しか持たせず, さらにモデルCは影響力の個人差をなくした。モデルDは距離を離散的に表した, 近傍という変数を持つモデルである。結果は, いずれのモデルにおいても空間的収束が見られるというものであり, 影響力の数や個人差, 人数という変数は空間的収束の必要条件ではないことが明らかにされた。このことから, 結果をバイナリ変数に変換する関数と局所的相互作用という特徴が, 空間的収束に必要な条件であると考えられた。また, ダイナミック社会的インパクト理論を展開する方向性が示唆され, この理論から得られるシミュレーションの結果の, 誤解や拡大解釈という問題点が指摘された。<BR>最後に, コンピュータシミュレーション一般における, モデル構築の容易さが引き起こす問題点と, 今後の展望が示された。
著者
小杉 考司
出版者
専修大学人間科学学会
雑誌
専修人間科学論集. 心理学篇 (ISSN:21858276)
巻号頁・発行日
no.9, pp.1-7, 2019-03

本研究では大学教育における学習管理システムから収集された,学生の授業資料へのアクセス記録から,学習成績に及ぼす影響を検討した。授業履修者77名の14回の投影資料の閲覧日時,閲覧回数と,第15回に行われた授業内試験による学生の成績を用いて,アクセス変数について指数分布に基づくモデルを,またそのモデルで推定された平均アクセス日数による成績への回帰モデルをベイズ推定した。分析の結果,アクセスしようとするかどうかという意思決定にかかわる態度が,成績に対して最も強く影響しており,最終的な評定値について最大10点程度の違いを産むことが明らかになった。最後に,モデリングによって柔軟な表現が可能になってはいるが,妥当な変数を選出し,意義のある予測モデルにすることの重要性について言及した。
著者
小杉 考司 藤沢 隆史 水谷 聡秀 石盛 真徳
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.16-25, 2001-12-25 (Released:2010-06-04)
参考文献数
13
被引用文献数
3 1

本研究は, ダイナミック社会的インパクト理論の一連の研究における, 空間的収束という結果をうみだす要因を特定することを目的としている。そのため, ダイナミックインパクト理論で用いられている, シミュレーションモデルに含まれている変数の効果を検証するべく四つのモデルを作った。派閥サイズモデルや累積的影響モデルでは二種類の連続変数をもち, 影響力の強さに個人差が付与されていたが, 本研究のモデルAおよびBは一種類の強度変数しか持たせず, さらにモデルCは影響力の個人差をなくした。モデルDは距離を離散的に表した, 近傍という変数を持つモデルである。結果は, いずれのモデルにおいても空間的収束が見られるというものであり, 影響力の数や個人差, 人数という変数は空間的収束の必要条件ではないことが明らかにされた。このことから, 結果をバイナリ変数に変換する関数と局所的相互作用という特徴が, 空間的収束に必要な条件であると考えられた。また, ダイナミック社会的インパクト理論を展開する方向性が示唆され, この理論から得られるシミュレーションの結果の, 誤解や拡大解釈という問題点が指摘された。最後に, コンピュータシミュレーション一般における, モデル構築の容易さが引き起こす問題点と, 今後の展望が示された。
著者
川本 静香 渡邉 卓也 小杉 考司 松尾 幸治 渡邉 義文 サトウ タツヤ
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.1-12, 2014-07-30 (Released:2014-08-26)
参考文献数
30

本研究では,うつ病患者と類似した抑うつ症状を持つ非臨床群を抽出し,その特徴を検討した。うつ病患者および非臨床群のBDI-II項目得点に対し,k-meansクラスター分析を行った結果,抑うつ状態が軽症の非臨床群の全員と中等症の非臨床群の一部の者が非抑うつクラスターへ分類された。一方,残りの中等症の非臨床群と重症の非臨床群の全員が抑うつクラスターへ分類された。このことから,軽症の非臨床群の抑うつ症状は,重症度の高いうつ病群とは類似性がないことが明らかになった。また,重症の抑うつ状態にある非臨床群と重症度の高いうつ病群には類似性が見られた。ただし,中等症の非臨床群については,その一部の者に重症度の高いうつ病群との類似性が認められる一方で,見られない者も確認された。
著者
石盛 真徳 藤澤 隆史 小杉 考司 清水 裕士 渡邊 太 藤澤 等
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.159-168, 2008-10-05
被引用文献数
1

本研究では、ソシオン理論の家族システム論に基づいて、家族成員間関係から家族システムの機能を把握するアプローチと家族システムの全体的機能に関して直接的に取り扱う研究アプローチとが融合し得るか、について検討を行った。具体的には、家族成員間の感情コミュニケーションにおける思いやりと家族全体システムの機能との関連性が調査された。その結果は、家族システムへのアプローチとして、家族成員間関係に基づくアプローチと全体的機能へのアプローチを重ね合わせて検討することの有効性を示していた。また家族構成や家族成員のジェンダーといった家族システムの内的構造変数に、社会階層意識といった外的構造変数も加えて、家族成員間関係と全体的機能との関連性を分析することによって、家族援助の実践的取り組みに対するより役立つ基礎データが提供可能となることも示された。本研究のデータは、ソシオン理論の家族システム理論に基づいて要請される完全な二相三元非対称データではなく、4人家族の子供のみを調査協力者として収集された部分的なデータであったので、今後は完全な二相三元非対称データに基づいた検討が必要とされる。