著者
渡邊 生恵 杉山 敏子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.35, no.5, pp.5_117-5_128, 2012-12-01 (Released:2016-03-05)
参考文献数
35

目的:患者と看護師における療養環境評価の視点の特性を明らかにする。方法:一般病床入院患者20名と同病棟看護師20名に対し,評価グリッド法を用いて入院環境についての評価を調査した。結果:①看護師は患者に比べ評価する項目が多かった。②患者は多床室でプライバシーを保ちつつ他者とかかわれる環境,看護師は家族とのプライバシーを重視していた。③患者は細かな生活のしやすさを評価していたが,看護師は安全性を評価していた。④患者は自分の必要性にあった環境が整っていることを評価していたが,看護師はすべての患者に同じレベルの環境が提供され,家よりも高い快適性であることを評価していた。結論:看護師による環境評価には基礎教育および臨床での経験が反映されており,患者間のエンパワメント効果や日常生活の送りやすさという患者の視点を加えることで,より一層患者の求める環境を提供できる可能性が示唆された。
著者
佐藤 みほ 朝倉 京子 渡邊 生恵 下條 祐也
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.63-71, 2015-05-15 (Released:2015-05-26)
参考文献数
26
被引用文献数
1 5

目的:北米で作成された職業コミットメント尺度(OCS)を日本語に翻訳し,日本語版OCSの信頼性と妥当性を検証した.対象と方法:看護師を対象とした予備調査において尺度の信頼性と因子構造を確認後,看護師4046名を対象に本調査を実施し,1331名(有効回答率32.9%)を分析対象とした.結果:探索的因子分析により,情緒的職業コミットメント,功利的職業コミットメント,規範的職業コミットメントの3因子が抽出され,確証的因子分析で良好な適合度が得られた.信頼性係数は尺度全体が0.817,下位尺度が0.756~0.837であり,I–T相関はおおむね良好な値が得られた.併存妥当性の基準とした職務満足感とは有意な正の相関が,離職意向とは有意な負の相関が認められた.結論:1項目のみ日本語訳の信頼性,妥当性が十分に得られず,結果の解釈に留意が必要であるものの,日本語版OCSについて,一定の信頼性,構成概念妥当性および併存妥当性が確認された.