- 著者
-
渥美 郁男
西村 文子
- 出版者
- 宝石学会(日本)
- 雑誌
- 宝石学会(日本)講演会要旨
- 巻号頁・発行日
- vol.35, 2013
トラピッチェ(Trapiche)とはスペイン語でサトウキビの搾り機の意味である.その歯車に似た6方向に広がる放射状結晶の呼称に用いられ,トラピッチェ・エメラルドが特に有名である.しかし近年,ミネラルショーなどで「トラピッチェ」と呼ばれる3方向に放射状模様を示す薄片状のダイヤモンドが販売されており話題を呼んでいる.ダイヤモンドは等軸晶系に,エメラルドは六方晶系に属すことが知られており,その結晶系の違いから明らかに外観や構造が異なる.これらのことからダイヤモンドがトラピッチェと呼ばれることの是非についても議論を呼ぶところである.今回はこれらの模様が見られるダイヤモンドについて拡大検査や幾つかの分析を行ったので簡略に報告する.また最近観察された珍しいダイヤモンドについても言及する.