著者
湊 太郎 横山 由香 大石 友彦 佐藤 義夫
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.54-59, 2012 (Released:2012-10-19)
参考文献数
26
被引用文献数
1

豊かな水産資源を効率的かつ持続的に利用するためには,より健全な沿岸海域環境を取り戻し,それを長期にわたって維持する必要がある.本研究では,海域環境改善の手法として,底質に光を照射し付着藻類の光合成を促すことにより,底層水の貧酸素化を抑制する方法に着目した.ここではまず,無酸素状態からの溶存酸素量の増加の可能性を調べるため,自然堆積物を用いて室内実験を行った.人工光源として,本研究ではLEDを採用した.その結果,光を照射することによって,溶存酸素量が増加し無酸素状態を脱することが確認された.このことから,底質にLEDを用いて光を照射する方法は,無酸素状態の環境を改善するために非常に有効な手段であることが明らかとなった.
著者
服部 考成 福士 惠一 早川 真 湊 太郎
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.62, no.8, pp.737-741, 2013-08-05 (Released:2013-09-04)
参考文献数
12

We developed a capillary zone electrophoresis method with direct UV detection for the determination of inorganic anions (Cl−, NO2−, and NO3−), organic acids (oxalic acid, citric acid, and malic acid), and amino acids (aspartic acid and glutamic acid) in the common ice plant (Mesembryanthemum crystallinum L.). As the background electrolyte, a 20 mmol L−1 disodium hydrogenphosphate dodecahydrate solution adjusted to pH 10.6 was used with the addition of 0.001% (w/v) hexadimethrine bromide to reverse electroosmotic flow. The detection responses for the above analytes were improved by 3.5 – 580 fold in terms of the limits of detection (LODs, S/N = 3) in comparison with conventional indirect UV detection. The LODs for the analytes were 0.040 – 2.9 mg L−1. The values of the relative standard deviation (RSD, n = 4, intra-day) of the migration time and the peak area were, respectively, 0.081 – 0.43% and 0.28 – 9.3% when extract from the common ice plant was analyzed. Using the proposed procedure, Cl−, NO2−, NO3−, and oxalic acid in the common ice plant were detected within 9 min; citric acid, malic acid, aspartic acid, and glutamic acid were detected within 12 min.
著者
湊 太郎 宮内 宣宏 山崎 正一 佐藤 義夫 福江 正治
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.181-186, 2006 (Released:2013-02-19)
参考文献数
10

本研究では, 大阪湾の湾奥に位置する尼崎港と尼崎運河において行った実証実験の結果をもとにして, 海水浄化船による水質汚濁物質の削減の可能性について検討した. その結果, 海水中のSSの中で粒状態有機物の占める割合が大きいほど, 海水浄化船を稼動させてSSを除去することによって, 海水中から水質汚濁物質である有機物を除去することが可能であるということが判明した. また, 植物プランクトンは, 海水中に溶存する無機栄養塩類を取り込み固定している. つまり, SSとして植物プランクトンをより多く除去することができれば, それに伴って海水中の栄養塩類の濃度をある程度まで低減させることが可能になると思われる. これらのことから, 大阪湾の湾奥のように, 植物プランクトンが大規模に増殖する海域では, 海水浄化船によるSSの除去に伴う水質改善が, より効果的に行われると考えられる.