著者
松尾 光弘 松田 理登 石橋 孝明 菊池 優花 山北 伊織 盛 夏希 今村 鮎美 坂本 貴良 田代 佑治 酒井 泰良 山中 佳樹 西立野 興文 湯淺 高志
出版者
Japanese Society of Cryobiology and Cryotechnology
雑誌
低温生物工学会誌 (ISSN:13407902)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.37-43, 2015-04-15 (Released:2017-06-15)

Low temperature have been broadly applied for storage technique of various vegetable and crops. Sweetpotato is one of the most popular crops grown in tropical and temperature regions. Because sweetpotato, originated from semi-tropical plants, is susceptible to cold stress, severe chilling stress by itself causes deterioration and/or irreversible damage in sweetpotato tuber tissues. However, mechanisms involved in physiological and biochemical changes of sweetpotato under chilling stress remain unclear. Thus, we focused on the gene expression profiles of cold stress-responsive transcriptional factors and carbohydrate metabolisms of sweetpotato in response to chilling stress. A sweetpotato homolog of Drought Responsive Element Binding factor (swDREB) is induced in sweetpotato within 6 h after treatment of chilling stresses. The expression of swDREB under chilling stress was maintained until 3 d. Chilling stress sequentially upregulated the expression of β-amylase (β-AMY) and trehalose-6-phosphate phosphatase (TPP). Increase of amylase activity and sugar content was also observed in sweet potato under chilling stress, These results suggest that swDREB mediates the expression of β-AMY and TPP via a cold stress-responsive transcription factor cascade, leading to degradation of starch in sweetpotato tuber and accumulation of maltose and trehalose.
著者
湯淺 高志 石田 さらみ 高橋 陽介
出版者
日本植物生理学会
雑誌
日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.95, 2004

RSGはジベレリン(GA)内生量調節に関与しているbZIP型転写因子である。RSGと相互作用するタンパク質の一つは14-3-3タンパク質であり、14-3-3タンパク質はRSGの細胞内局在を制御していた。14-3-3タンパク質は主にリン酸化されたセリン残基を認識して結合し、標的タンパク質の機能を制御している。RSGの114番目のセリン残基が14-3-3タンパク質との相互作用に必須であり、そのセリン残基のリン酸化にCa<SUP>2+</SUP>依存性プロテインキナーゼ(CDPK)が関与していることを前回の学会で報告した(2003年度日本植物生理学会年会)。<br> 本大会ではRSGとCDPKの<I>in vivo</I>における相互作用に関する解析を報告する。我々は <I>in vivo</I> 相互作用解析のためアグロインフィルタレーション法により <I>Nicotiana benthamiana</I> 葉身に発現プラスミドを導入する一過的発現系を用いた。GST融合RSGを一過的に発現させ抗GST抗体で免疫沈降を行い、沈降物中のCDPK活性を組み換えGST-RSGを基質にした<I>in-gel </I>キナーゼアッセイにより調べた。その結果GST-RSGと共沈した画分にRSGのSer114残基をリン酸化するCDPK活性が検出され、RSGとCDPKの <I>in vivo</I> における結合が示された。またリン酸化RSGと同様にCDPK自身も14-3-3タンパク質と結合することを見出した。
著者
石田 さらみ 湯淺 高志 高橋 陽介
出版者
日本植物生理学会
雑誌
日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集 第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.032, 2005-03-24 (Released:2006-01-11)

RSGはジベレリン(GA)内生量調節に関与するbZIP型転写活性化因子である。植物体においてその機能を阻害するとGA内生量が著しく低下し矮化形質を示す。これまでの解析により、1)真核生物に広く保存された制御因子、14-3-3タンパク質とリン酸化された114番目のセリン残基(S114)を介して相互作用すること、2)14-3-3タンパク質はRSGと結合するとRSGの核局在を阻害すること、3)RSGは14-3-3により細胞質に静的に拘束されているのではなく、核-細胞質間を高速にシャトルしていること、4)GA欠乏によりRSGは核に輸送され、GA刺激により核外に排出されること、5)この過程にタンパク質の分解は伴わないこと等を明らかとしてきた。GA刺激を受容しても14-3-3タンパク質と結合できない変異体RSGは核外に排出されないことから、GAによるRSGの細胞内局在変化には14-3-3タンパク質が関与することが示唆されている。この結果から、GA刺激によりRSGのS114のリン酸化状態が変化すると推測された。これを実証するため、S114がリン酸化されたRSGを特異的に認識する抗体を作成した。この抗体は、非リン酸化RSGとは交差しない。この抗体を使った解析の結果、GA内生量上昇により核外へ輸送される過程において、RSGのS114のリン酸化が経時的に亢進することが明らかとなった。
著者
井上 眞理 湯淺 高志
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

イネ科およびマメ科作物の子実の成熟および発芽過程について主に活性酸素およびラジカルスカベンジャーの機能に注目して調べた。吸水後のコムギおよびオオムギ種子のアリューロン細胞で生成されるH_2O_2は、抗酸化物質であるアスコルビン酸により消去されることを明らかにした。また、子実の登熟過程において、穂発芽抵抗性のコムギ"農林61号"は、ラジカルスカベンジャーであるアスコルビン酸による発芽抑制効果が登熟後期の開花28 日目から顕著となり、H_2O_2を消去するカタラーゼ活性が著しく高くなった。さらに、コムギのアスコルビン酸散布処理は、いずれの登熟ステージにおいても有効な穂発芽抑制物質となることが示された。デンプン種子だけでなく、油糧種子の成熟や発芽過程についても基礎的な知見を得た。ラッカセイでは、H_2O_2処理により90%以上の発芽率を示し、対照区に比べ著しく改善された。含水率は子葉および下胚軸ともに吸水に伴い漸増したが、下胚軸の増大は顕著だった。水の動態を示すT2は、下胚軸では吸水1日後から5日目まで漸増し自由水が出現した。乾燥子実へのH_2O_2処理により下胚軸および幼根においてエチレン生成が3倍となることが明らかになった。そこで、エチレン応答性遺伝子群の発現を正に制御する転写因子抗GmEin3 抗体によるイムノブロットを行った結果、H_2O_2処理によりラッカセイの下胚軸および幼根に明瞭な交差シグナルが早い時期から検出された。また、ダイズ種子の成熟過程の子実の成熟過程における含水率の変化とオートファジー関連遺伝子であるATG8ファミリーとの関係にも着目し、GmATG8i は含水率の低下に伴い開花28日目からその発現程度が低くなることも合わせて報告した。