著者
境泉 洋 佐藤 寛 松尾 雅 滝沢 瑞枝 富川 源太 坂野 雄二
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.43-53, 2004-03-31 (Released:2019-04-06)

問題解決療法(PST)のうつ症状に対する改善効果は、これまで多くの研究によって明らかにされているが、その効果をメタ分析によって検討した研究は行われていない。そこで本研究では、10の研究を用いてPSTの軽度うつ症状に対する改善効果についてメタ分析の視点から検討した。本研究から得られた結果は以下のとおりである。(1)PSTの軽度うつ症状に対する改善効果は、統制群より大きい。(2)セッション数(7 or more sessions、6 or fewer sessions)にかかわらず、PSTの軽度うつ症状に対する改善効果は統制群より大きい。(3)治療形式(グループ形式、個別形式)にかかわらず、PSTの軽度うつ症状に対する改善効果は、統制群より大きい。(4)治療終結期において、PSTの軽度うつ症状に対する治療効果はSSRIより小さいが、フォローアップ期において、PSTの軽度うつ症状に対する治療効果はSSRIより大きい。これらのことから、PSTは軽度うつ症状に対する治療法として有効であり、薬物療法と併用して治療に用いる有用性が示唆された。