著者
武藤 崇 境 泉洋 大野 裕史
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.89-97, 2020-05-31 (Released:2020-10-23)
参考文献数
34

本稿の目的は、1)福祉分野における心理学的支援を再考し、2)当該分野における心理学的支援の独自性を明確にし、さらに3)当該分野における認知・行動療法的な公認心理師に必要と考えられるアプローチを提案することである。当該のアプローチとは「行動福祉」(望月,1993)である。また、行動福祉に含意されている生態・行動的視点の具体例として、環境のエンリッチメント、非随伴強化、“動機づける”操作が挙げられた。
著者
境 泉洋 平川 沙織 野中 俊介 岡崎 剛 妹尾 香苗 横瀬 洋輔 稲畑 陽子 牛尾 恵 溝口 暁子
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.167-178, 2015-09-30 (Released:2019-04-06)

本研究の目的は、ひきこもり状態にある人(以下、ひきこもり本人)の親を対象としたCRAFTプログラムの効果を検討することであった。本研究においては、CRAFT群7名、自助群7名が設定された。その効果測定として、ひきこもり状態の改善、相談機関利用の有無、否定的評価尺度、セルフ・エフィカシー尺度(以下、エフィカシー)、心理的ストレス反応尺度(以下、SRS-18)、ひきこもり家族機能尺度(以下、家族機能)について親に回答を求めた。その結果、自助群よりもCRAFT群において、ひきこもり状態の改善やひきこもり本人の相談機関の利用が多く認められた。また、CRAFT群、自助群のいずれにおいても、親の「エフィカシー」が向上し、SRS-18の「抑うつ・不安」、「不機嫌・怒り」、家族機能の「正の強化」、「負の強化」が改善された。考察においては、親の年齢、ひきこもり期間を統制したうえで無作為割り付けによる効果検証の必要性が指摘された。
著者
野中 俊介 大野 あき子 境 泉洋
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.1-10, 2012-01-31 (Released:2019-04-06)

本研究の目的は、ひきこもり状態における家族機能を検討することであった。ひきこもり状態が行動理論および幸福感の観点による家族機能に及ぼす影響を検討するために、ひきこもり状態にある人の親(以下、ひきこもり群)107名および、ひきこもり状態の経験がない人の親(以下、統制群)79名を対象にひきこもり関係機能尺度(HRFS)、およびRelationshipHappinessScale(RHS;Smith&Meyers,2004)に回答を求めた。共分散分析の結果、ひきこもり群は統制群よりもHRFSの「正の罰」、「負の罰」得点、およびRHS得点が低いことが示された。これらの結果を踏まえ、介入において親の関係幸福感および関係性の機能の改善の意義について考察が加えられた。
著者
境 泉洋 平川 沙織 野中 俊介 岡崎 剛 妹尾 香苗 横瀬 洋輔 稲畑 陽子 牛尾 恵 溝口 暁子
出版者
一般社団法人日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.167-178, 2015-09-30

本研究の目的は、ひきこもり状態にある人(以下、ひきこもり本人)の親を対象としたCRAFTプログラムの効果を検討することであった。本研究においては、CRAFT群7名、自助群7名が設定された。その効果測定として、ひきこもり状態の改善、相談機関利用の有無、否定的評価尺度、セルフ・エフィカシー尺度(以下、エフィカシー)、心理的ストレス反応尺度(以下、SRS-18)、ひきこもり家族機能尺度(以下、家族機能)について親に回答を求めた。その結果、自助群よりもCRAFT群において、ひきこもり状態の改善やひきこもり本人の相談機関の利用が多く認められた。また、CRAFT群、自助群のいずれにおいても、親の「エフィカシー」が向上し、SRS-18の「抑うつ・不安」、「不機嫌・怒り」、家族機能の「正の強化」、「負の強化」が改善された。考察においては、親の年齢、ひきこもり期間を統制したうえで無作為割り付けによる効果検証の必要性が指摘された。
著者
野中 俊介 境 泉洋
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.179-191, 2015-09-30 (Released:2019-04-06)

本研究の目的は、物質乱用者やひきこもり状態にある人のconcerned significant others(CSO)を対象としたCommunity Reinforcement and Family Training(CRAFT)による効果をメタ分析によって検討することであった。物質乱用者のCSOを対象とした8本の効果研究および、ひきこもり状態にある人のCSOを対象とした2本の効果研究を用いて、CRAFTによる効果を検討した結果、受療に至った割合は物質乱用ケースで64.9%、ひきこもりケースでは30.8%であった。ただし、ひきこもりケースでは、社会参加に至ったケースを含めた割合は61.5%であった。さらに、CSOの心理的機能の改善、関係性の改善のいずれにおいても、物質乱用ケース、ひきこもりケースともに一定の有効性が示された。これらの結果を踏まえ、CRAFTによる効果と今後の研究に関する課題について考察が加えられた。
著者
佐藤 寛 高橋 史 杉山 恵一 境 泉洋 嶋田 洋徳
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.33-44, 2007-03-31 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
1

本研究の目的は、攻撃行動をパーソナリティ変数としてではなく、観察可能な行動として測定する尺度である攻撃行動尺度を作成し、信頼性と妥当性を検討することであった。まず、研究1では大学生372名を対象に調査を実施し、攻撃行動尺度の作成と内的整合性の検討を行った。その結果、「身体的・物理的攻撃」「言語的攻撃」「間接的攻撃」の3因子17項目からなる攻撃行動尺度が作成された。また、攻撃行動尺度はある程度の内的整合性があることが示された。次に、研究IIにおいて、大学生406名を対象に、攻撃行動尺度とAnger Expression Scaleを用いた調査を実施し、攻撃行動尺度の妥当性を検討した。分析の結果、攻撃行動尺度は適切な交差妥当性と構成概念妥当性を有していることが示唆された。最後に、本研究の限界と今後の課題に関する議論が述べられた。
著者
曽賀 愛未 境 泉洋 戸ヶ﨑 泰子
出版者
徳島大学大学院社会産業理工学研究部
雑誌
人間科学研究 (ISSN:24333484)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.23-35, 2017

The purpose of this study was to investigate effects and efficacy of classroom-based depression prevention program focused on promoting expression of positive self-statement. The participants in this study were elementary school third graders. A waiting list control design was used, in which the children were assigned either to intervention group (n =32) or waiting list control group (n =65). As result, no significant effect was seen between two groups. On the other hand, as a result of examination in depressed high group and low group, it was suggested that the program developed in this study may be effective for children exhibiting a high depression tendency. Finally, future tasks in earlier depression-preventive intervention for children were discussed.
著者
近藤 直司 小林 真理子 宮沢 久江 宇留賀 正二 小宮山 さとみ 中嶋 真人 中嶋 彩 岩崎 弘子 境 泉洋 今村 亨 萩原 和子
出版者
全国障害者問題研究会
雑誌
障害者問題研究 (ISSN:03884155)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.21-29, 2009-05

近年,青年期におけるひきこもりケースの中に発達障害を背景とするものが少なくないことが明らかになってきており,個々の発達特性や精神・心理状態を踏まえた支援のあり方が問われている.また,ひきこもりに至る以前の予防的な早期支援のあり方を検討することも重要な課題である.本稿では,まず,ひきこもり問題に占める発達障害の割合や,ひきこもり状態にある広汎性発達障害ケースの特徴について述べ,ひきこもりの発現を未然に防ぐことを目的とした予防的早期支援と不登校・ひきこもりケースへの支援における家族支援の要点について検討する.
著者
野中 俊介 境 泉洋
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.85.13315, (Released:2014-07-01)
参考文献数
22
被引用文献数
15 18

The purpose of the present study was to examine the effect of hikikomori, a Japanese term denoting “prolonged social withdrawal”, on quality of life (QOL). Individuals with hikikomori at present (n = 26) and in the past (n = 31), as well as mildly depressed individuals without hikikomori (n = 114) and highly depressed individuals without hikikomori (n = 27) were requested to complete the WHO Quality of Life 26 (QOL26).The results of MANOVA indicated that the present hikikomori group’s scores on the social relationships domains of the QOL26 were significantly lower than the scores of the highly depressed group.The results of this study suggest that it might be important to intervene to improve QOL in individuals with hikikomori.
著者
細尾 綾子 境 泉洋
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.31-41, 2015-01-31 (Released:2019-04-06)

児童青年における体験の回避や認知的フュージョンによる心理的非柔軟性を測定するAvoidance and Fusion Questionnaire for Youth (AFQ-Y)の日本語版を作成し、信頼性と妥当性について検討した。研究Iでは、Item-parcelingを用いた確認的因子分析によって1因子構造であることが示された。また、十分な内的整合性と収束的妥当性が確認された。研究IIでは、中学生に対してアクセプタンス&コミットメント・セラピーを取り入れた集団心理教育を実施し、その前後での日本語版AFQ-Yの得点変化を検討した。その結果、得点が有意に低くなったことにより反応性が確認された。以上のことから、日本語版AFQ-Yは信頼性および妥当性を有すると考えられた。
著者
野中 俊介 境 泉洋
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.179-191, 2015

本研究の目的は、物質乱用者やひきこもり状態にある人のconcerned significant others(CSO)を対象としたCommunity Reinforcement and Family Training(CRAFT)による効果をメタ分析によって検討することであった。物質乱用者のCSOを対象とした8本の効果研究および、ひきこもり状態にある人のCSOを対象とした2本の効果研究を用いて、CRAFTによる効果を検討した結果、受療に至った割合は物質乱用ケースで64.9%、ひきこもりケースでは30.8%であった。ただし、ひきこもりケースでは、社会参加に至ったケースを含めた割合は61.5%であった。さらに、CSOの心理的機能の改善、関係性の改善のいずれにおいても、物質乱用ケース、ひきこもりケースともに一定の有効性が示された。これらの結果を踏まえ、CRAFTによる効果と今後の研究に関する課題について考察が加えられた。
著者
中谷 盛吾 境 泉洋
出版者
一般社団法人 日本健康心理学会
雑誌
健康心理学研究 (ISSN:09173323)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.33-40, 2015 (Released:2015-07-31)
参考文献数
24

Effects of physical exercises on physical, mental and social functions of elderly people were investigated. Elderly people (N=16) in need of support participated in a randomized crossover study twice weekly for 8 weeks. Results indicated significant improvements in the Geriatric Depression Scale scores and in the gait duration in the Timed Up and Go Test for the group that implemented physical exercises. Moreover, a correlation was observed between improvements in physical functions after the intervention with physical, psychological and social functioning of frail elderly people. These results suggest that appropriate physical exercises for elderly people who are need of support were effective for improving their physical and mental functions. In addition, physical exercises were more effective for improving physical, psychological, and social functioning of frail elderly people.
著者
中谷 盛吾 境 泉洋
出版者
一般社団法人 日本健康心理学会
雑誌
健康心理学研究 (ISSN:09173323)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.33-40, 2015

Effects of physical exercises on physical, mental and social functions of elderly people were investigated. Elderly people (<i>N</i>=16) in need of support participated in a randomized crossover study twice weekly for 8 weeks. Results indicated significant improvements in the Geriatric Depression Scale scores and in the gait duration in the Timed Up and Go Test for the group that implemented physical exercises. Moreover, a correlation was observed between improvements in physical functions after the intervention with physical, psychological and social functioning of frail elderly people. These results suggest that appropriate physical exercises for elderly people who are need of support were effective for improving their physical and mental functions. In addition, physical exercises were more effective for improving physical, psychological, and social functioning of frail elderly people.
著者
野中 俊介 境 泉洋
出版者
The Japanese Psychological Association
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.85, no.3, pp.313-318, 2014
被引用文献数
18

The purpose of the present study was to examine the effect of hikikomori, a Japanese term denoting "prolonged social withdrawal", on quality of life (QOL). Individuals with hikikomori at present (<i>n</i> = 26) and in the past (<i>n</i> = 31), as well as mildly depressed individuals without hikikomori (<i>n</i> = 114) and highly depressed individuals without hikikomori (<i>n</i> = 27) were requested to complete the WHO Quality of Life 26 (QOL26).The results of MANOVA indicated that the present hikikomori group's scores on the social relationships domains of the QOL26 were significantly lower than the scores of the highly depressed group.The results of this study suggest that it might be important to intervene to improve QOL in individuals with hikikomori.