著者
澤島 秀成 堀 良彰 砂原 秀樹 尾家 祐二
雑誌
マルチメディア通信と分散処理ワークショップ論文集
巻号頁・発行日
vol.1996, no.1, pp.87-94, 1996-10-23

広域ネットワークにおいて、音声や画像などの実時間通信は、その実時間性を満足させるためにUDPが用いられることが多い。しかしながら、広域ネットワークにおいて使用されているトラフィックの約80%は、TCPトラフィックである。TCPはUDPと異なり独自のフロー制御機構を持つために、これらが混在した広域ネットワークにおけるUDPのトラフィック特性は、TCPの影響を大きく受けることになる。本研究では、TCPとUDPが混在する広域ネットワークについてシミュレーションを行い、UDPのパケット廃棄特性をTCPのフロー制御の挙動との関係から調査した。複数のTCPコネクション間において、その輻輳ウィンドウのサイズ変化に同期が見られる場合、UDPの廃棄率が著しく大きくなり、そのバースト性を示す連続廃棄数も増加することが分かった。また、音声通信などの場合、UDPの送信レートを下げても、UDPのパケット廃棄率に目立った改善が見られないことが分かつた。