著者
山下 貴典 横手 靖彦 岡村 英明 砂原 秀樹 尾家 祐二
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.21-22, 1997-03-12

これからのコンピュータネットワークの形態として、携帯型端末、ゲーム機、NC、VOD System 等の計算資源の限られた組み込み型機が接続される事が予想される。このようなネットワーク上では・頻繁なシステム構成の変更・制限された計算資源での快適な実行・位置透過性、移動透過性の実現などに対応できる新しいソフトウェアアーキテクチャが必要となる。SONY CSL で開発中の OS Apertos は、オブジェクト指向基づいたアプローチによりこのような環境を実現しようとしているが、Apertos による分散環境への移行を促すには既存のユーザ環境の共存と開発環境の充実が欠かせない。本稿では分散環境実現のための手法としてのオプジェクト指向とそれに対する Apertos のアプローチについて紹介し、上述の課題を解決する手段の一つとしての Apertos Emulator とその実装法について述べる。
著者
澤島 秀成 堀 良彰 砂原 秀樹 尾家 祐二
雑誌
マルチメディア通信と分散処理ワークショップ論文集
巻号頁・発行日
vol.1996, no.1, pp.87-94, 1996-10-23

広域ネットワークにおいて、音声や画像などの実時間通信は、その実時間性を満足させるためにUDPが用いられることが多い。しかしながら、広域ネットワークにおいて使用されているトラフィックの約80%は、TCPトラフィックである。TCPはUDPと異なり独自のフロー制御機構を持つために、これらが混在した広域ネットワークにおけるUDPのトラフィック特性は、TCPの影響を大きく受けることになる。本研究では、TCPとUDPが混在する広域ネットワークについてシミュレーションを行い、UDPのパケット廃棄特性をTCPのフロー制御の挙動との関係から調査した。複数のTCPコネクション間において、その輻輳ウィンドウのサイズ変化に同期が見られる場合、UDPの廃棄率が著しく大きくなり、そのバースト性を示す連続廃棄数も増加することが分かった。また、音声通信などの場合、UDPの送信レートを下げても、UDPのパケット廃棄率に目立った改善が見られないことが分かつた。
著者
立花 大祐 田中 喜明 内田 真人 鶴 正人 尾家 祐二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CS, 通信方式 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.394, pp.55-60, 2009-01-15
被引用文献数
2

近年のネットワーク管理において必要となる大域的なトラヒックフローの統計的把握のためには,OD(origin destination)トラヒック行列の推定が重要である.超高速ネットワーク上でのトラヒック行列の直接計測は難しく高コストである為,統計的な推定が研究されてきた.本研究では,著者らが先行研究において提案し,数値実験によって効果を示した推定手法に関して,その実用性を検証するために,大学内ネットワークの実トラヒックを用いて実験し,分析・評価を行った.実験の結果,他の既存手法がうまく適用できないような条件(例えば,変則的なトラヒック,少量のトラヒック,短い単位時間等)にも適用可能であることが分かった.
著者
山口 剛史 井島 亮一 塚本 和也 樫原 茂 尾家 祐二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.628, pp.293-298, 2006-02-23
被引用文献数
3

近年の無線LANの急速な普及に伴い,今後は複数の通信事業者が提供する公衆無線LANサービスが混在し,互いにオーバラップすることで,ユビキタス環境が形成されると予想される.このようなユビキタス環境では,(1)端末の移動,及び(2)干渉による通信品質の劣化が頻繁に発生すると考えられる.そのため,これらの品質劣化を適切に検知し,より良い通信品質を提供可能な無線LANヘハンドオーバすることが重要となる.先行研究ではハンドオーバ決定指標に着目し,既存のハンドオーバ決定指標の問題点に言及した上で,フレーム再送回数の有効性をシミュレーション実験により示した.しかし,電波の再現性などの問題から,電波強度との比較実験は行っていない.そこで,本論文では実環境においてFTP通信とVoIP通信を用いて,(1),(2)の検討項目に関して実験を行い,その結果からハンドオーバ決定指標としての電波強度の問題点とフレーム再送回数の有効性を明らかにする.
著者
辻村 直也 鶴 正人 尾家 祐二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.457, pp.21-26, 2009-02-24

複数の送信者から単一受信者へデータを同時転送する場合,適切な送信レートの決定には,各々のパスに沿った最小リンク帯域幅(ボトルネック帯域幅)だけでなく,複数パスの共有区間内のボトルネック帯域幅を知る必要がある.我々は以前,このような共有部分パスのボトルネック帯域幅を送信者・受信者間のアクティブ計測だけから推定するために,疑似パケットペアを用いた推定方式の原理を提案した.本稿では,それに基づく具体的なオンライン推定手法を提案し,その推定精度や推定効率(時間)をネットワークシミュレーションによって評価する.
著者
大薮 赳 福田 豊 尾家 祐二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.461, pp.139-144, 2007-01-11

通信容量の増強や設置の容易さなどの利点から,複数のアクセスポイント(AP, Access Point)を相互に無線で接続して構築する無線LANメッシュネットワークが注目されている.しかし,現在用いられている既存方式では各端末(STA, Station)は受信電波強度(RSSI, Received Signal Strength Indicator)のみに基づいて接続先のAPを決定するため,無線資源の利用効率や公平性が低下するという問題が生じる.我々はこのようなAP選択問題について,自STAのスループットを最大化するようにAPを選択する方式を提案し,シングルホップ無線LAN環境で無線資源を有効かつ公平に利用できることを明らかにした[1][2].さらに,チェーントポロジの無線LANメッシュネットワークに対しても,AP間のPER(Packet Error Rate)を考慮するよう提案手法を拡張し,その有効性を明らかにしている[3].そこで本稿では,より一般的なトポロジの無線LANメッシュネットワークにおいて,端末が自律的にAPを選択する手法を提案し,その効果をシミュレーションにより明らかにする.
著者
植田 啓文 塚本 和也 田村 瞳 川原 憲治 尾家 祐二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IA, インターネットアーキテクチャ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.449, pp.63-68, 2008-01-17

近年,センサの協調動作によってターゲットトラッキングなどのサービスを提供可能なセンサネットワークが注目されている.先行研究では,低機能な複数のセンサによる協調トラッキング手法の提案を行い,高い捕捉性能・省電力性能を実現できることを示した.しかし,ユーザ要求はアプリケーションによって異なるため,確実に要求を満たすためには,センサネットワーク構築の設計指針について考慮することが必要不可欠となる.そこで,本研究では提案手法を用いた際のトラッキング性能とセンサ配置密度の関係に着目し,その関係からアプリケーション要求に応じたセンサネットワーク構築に関する設計指針を明らかにする.
著者
大西 圭 山本 寛 尾家 祐二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IA, インターネットアーキテクチャ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.79, pp.7-12, 2005-05-18
被引用文献数
1

構造化されないPeer-to-peer(P2P)ネットワーク上でのファイル共有を想定し, P2Pネットワークを構成する機能的に対等なピアはそれらに生じるストレージ負荷に関しても対等であるべきであるとの立場から, 新たなストレージ負荷分散のための複製配置手法を提案する.提案手法は, 各ピアが保持する過去のファイル検索経路情報を用いて, 現ファイル検索経路上のピアおよびそれらの隣接ピアの中からピアを選択し, 一定の確率で選択ピアにファイルの複製を生成する.実験の結果は, 提案手法が, ファイル検索経路上のピアのみに一定の確率でファイルの複製を配置する比較対象手法に比べ, 優れたストレージ負荷分散性能を持つことを示す.
著者
市川 憲人 大西 圭 内田 真人 鶴 正人 尾家 祐二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.628, pp.125-130, 2006-02-23
被引用文献数
1

ファイル共有を目的とした非構造型Peer-to-Peer(P2P)アプリケーションにおいて,複製の配置は検索効率を高めるための有効な方法であるが,既存の複製配置手法には,一部のピアに負荷を集中させてしまうという欠点がある.そこで本研究では検索効率と両立しながら負荷分散を達成するために,熱拡散現象に着想を得た複製配置手法を提案した.理論解析の結果,提案手法は統計的に熱拡散現象と類似の挙動を示すことを明らかにした.また,シミュレーション評価の結果,提案手法は検索性能と負荷分散をうまく両立させる能力に加え,検索効率と負荷分散の多様なトレードオフ関係を開拓する能力を有することが分かった.