著者
吉賀 夏子 堀 良彰 只木 進一 永崎 研宣 伊藤 昭弘
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.310-323, 2022-02-15

わが国には,江戸時代以前に記された業務記録や証文などの古記録が数多く存在する.これらを有効に活用するためには,少ない工数で機械可読データを構築する必要がある.特に,地域特有の資料の場合には,地域特有の固有表現への対応が必要となる.本研究では,江戸期の業務日誌である「小城藩日記データベース」の目録記事文からLinked Dataなどの機械可読データを生成することを具体的目標とし,固有表現抽出の効率化を行う.その第1の手法は,市民参加による人手そのものの有効活用である.第2の手法は,機械学習による固有表現の自動抽出である.これらの手法を組み合わせることで,通常は収集の難しい地域特有の固有表現を記事文から,自動かつ高精度で抽出可能である.
著者
小原 正芳 堀 良彰 櫻井 幸一
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.33(2004-CSEC-028), pp.37-42, 2005-03-22

近年,インターネット上のエンドホストに対してネットワークを介し無差別に行われる攻撃が増加している.攻撃者は脆弱なエンドホストを探すために TCP に対するポートスキャンを行うため,ポートスキャンは侵入の前兆とみなすことができる.それゆえ,攻撃者からのポートスキャンを早期に検知し必要な対策を行うことは,攻撃を事前に防ぐために重要である.ポートスキャン検知のために,これまでいくつかのアルゴリズムが考案され,それらはネットワーク侵入検知システムに実装されている.しかしながら,既存のポートスキャンの検知アルゴリズムでは,早期検知よりも精度に重点がおかれているため,精度を損なわず早期検知が可能な新たな手法が求められている.本稿では,ポートスキャンの特徴に基づく評価基準を用いることでポートスキャンを効率良く検知できる手法を提案し,その評価を行うことで提案手法の有効性を明らかにする.
著者
藤村 直美 堀 良彰 平山 善一
雑誌
情報処理学会研究報告インターネットと運用技術(IOT)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.37(2003-DSM-032), pp.49-54, 2004-03-29

九州芸術工科大学と九州大学は平成15年10月1日付で統合し,九州芸術工科大学は新しい九州大学の一部となった.これに伴って ,九州芸術工科大学の学内ネットワークを九州大学の学内ネットワークに統合する作業を行った.具体的には,IPアドレスの変更,ドメイン名の変更,キャンパス間接続の高速化である.また ,九州芸術工科大学情報処理センターを九州大学情報基盤センター大橋分室として統合し,関連する学内規則の整備を行った.ここでは大学の統合に伴って行った作業内容,手順,問題点,およびその後の経緯などについて報告する.
著者
澤島 秀成 堀 良彰 砂原 秀樹 尾家 祐二
雑誌
マルチメディア通信と分散処理ワークショップ論文集
巻号頁・発行日
vol.1996, no.1, pp.87-94, 1996-10-23

広域ネットワークにおいて、音声や画像などの実時間通信は、その実時間性を満足させるためにUDPが用いられることが多い。しかしながら、広域ネットワークにおいて使用されているトラフィックの約80%は、TCPトラフィックである。TCPはUDPと異なり独自のフロー制御機構を持つために、これらが混在した広域ネットワークにおけるUDPのトラフィック特性は、TCPの影響を大きく受けることになる。本研究では、TCPとUDPが混在する広域ネットワークについてシミュレーションを行い、UDPのパケット廃棄特性をTCPのフロー制御の挙動との関係から調査した。複数のTCPコネクション間において、その輻輳ウィンドウのサイズ変化に同期が見られる場合、UDPの廃棄率が著しく大きくなり、そのバースト性を示す連続廃棄数も増加することが分かった。また、音声通信などの場合、UDPの送信レートを下げても、UDPのパケット廃棄率に目立った改善が見られないことが分かつた。
著者
溝口 誠一郎 笠原 義晃 堀 良彰 櫻井 幸一
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.1087-1098, 2013-03-15

ネットワーク上に存在するボットに感染した端末を特定するために,ネットワークアプリケーションが送信するアプリケーションプロトコルメッセージの送信間隔に着目したボット検知手法を提案する.人間がアプリケーションを操作した場合,そのアプリケーションプロトコルメッセージの送信間隔はばらつくのに対し,ボットの場合はその挙動がコードによって規定されているため,アプリケーションプロトコルメッセージの送信間隔の分布に偏りが起きる.この分布の違いを利用して,人間とそうでないものを区別することで,ボットを発見する.はじめにネットワークアプリケーションに対する入力と出力の関係をモデル化し,IRCクライアントのIRCメッセージ送信間隔のモデル化を行う.続いて,提案モデルに従ったボット検知アルゴリズムを設計する.アルゴリズムでは,IRCメッセージの送信間隔の列に対して階層型クラスタリングを適用することで人間と機械のモデルの区別を行う.評価では,モデルに基づく擬似データを用いてアルゴリズムのパラメータを設定した後,実際の人間が操作するIRCクライアントで観測されたIRCトラフィックならびにIRCボットのトラフィックに対して提案手法を適用した.その結果,IRCボットのトラフィックは機械が生成したトラフィックとして正しく判定された.
著者
吉賀 夏子 堀 良彰 牛島 清豪
出版者
電気・情報関係学会九州支部連合大会委員会
雑誌
電気関係学会九州支部連合大会講演論文集 2019年度電気・情報関係学会九州支部連合大会(第72回連合大会)講演論文集
巻号頁・発行日
pp.591-592, 2019-09-19 (Released:2020-01-20)

大雨時の防災において、地域の河川水位情報の変化を速やかに取得するため、河川水位時系列情報と河川水位観測所の情報を Linked Data として統合し蓄積および配信を行う情報システムを設計したので報告する。
著者
黒岩 真幸 田中 久治 堀 良彰 大谷 誠
出版者
電気・情報関係学会九州支部連合大会委員会
雑誌
電気関係学会九州支部連合大会講演論文集 平成26年度電気・情報関係学会九州支部連合大会(第67回連合大会)講演論文集
巻号頁・発行日
pp.231, 2014-09-11 (Released:2016-02-10)

近年,スマートフォンやタブレットなどの普及や,動画配信サービスの充実によりトラフィックが増加している.また,セキュリティの脆弱性を狙った攻撃も少なくない. 一方,近年,SDNという概念が注目されている.これはソフトウェアによってネットワーク全体を制御しようという考え方である.そのSDNの標準の技術の1つにOpenFlowがある.OpenFlowを用いることで,プログラミングによってパケットの制御が可能になる.本研究ではOpenFlowによるパケット制御と,パケットを可視化するパケットアートシステムの開発を行った.これにより,ネットワークの状態を把握,また攻撃を検知することができる.
著者
福島 祥郎 堀 良彰 櫻井 幸一
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC) (ISSN:21862583)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.38, pp.1-8, 2011-03-03

近年,Web ブラウザなどの脆弱性を突いてユーザにマルウェアを感染させる悪性 Web サイトの脅威が深刻化してきている.悪性 Web サイト対策にはそれらの URL やドメインのブラックリスト化が重要となるが,攻撃者はその回避のために URL やドメインを短期的に変更するため,たとえ未知の悪性 Web サイトであっても対応可能なブラックリストが重要となる.そこで本研究では,悪性 Web サイトが属す IP アドレスブロックとドメイン登録に用いたレジストラの関連性に着目し,それらの信頼性評価に取り組む.そして,信頼性の低い要素の組み合わせを用いたブラックリスト方式を提案し,その手法の有効性について評価を行う.The threats of malware infection via malicious Web sites which exploit vulnerabilities of Web browser are increasing. It is important to blacklist URLs or domains of the malicious Web sites for filtering them. However, attackers attempt to frequently change the URLs or domains to avoid the blacklist. Thus, a blacklist which can filter even unknown malicious Web sites is significant. In this paper, we focus on simiralities of IP address blocks and registrars used by malicious Web sites, and evaluate reliability of them. Then, we propose a blacklisting scheme using combinations of the two data with low reliability as the candidates for filtering, and evaluate effectiveness of our proposal.
著者
小森 将登 堀 良彰 平山 善一 藤村 直美
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TM, テレコミュニケーションマネジメント (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.36, pp.13-18, 2004-05-07
参考文献数
3

九州芸術工科大学と九州大学は2003年10月1日に統合した.これに伴ってネットワークも統合し,九州大学のネットワークの一部となった.これを契機に大橋キャンパス(旧九州芸術工科大学)におけるIPアドレスの管理方法を全固定IPアドレスからDHCPを中心とする体制に変更した.センターの事務職員も減ったことから,端末設置業務を可能な限り自動化することを目的として,利用者による申請手続きからDHCPやDNSの設定ファイル変更までを含めて全ての処理を自動化する支援システムを構築したので報告する.
著者
堀 良彰 周秉慧 櫻井 幸一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.45, pp.25-30, 2008-05-15

本稿では、2008 年 1 月 21 日から 23 日まで、オーストラリアアデレード市で開催された第 1 回情報通信とマルチメディアにおけるフォレンジック応用と技術に関する国際コンファレンス (e-Forensics 2008 First lnternational Conference on Forensic Applications and Techniques in Telecommunications Informationand Multimedia) における研究発表を概説し、ディジタルフォレンジックに関する研究開発動向を概観する。This article reports the First lnternational Conference on Forensic Applications and Techniques in Telecommunications, Informationand Multimedia (e-Forensics 2008), Aderaide, Australia on January 21st to 23rd, 2008. We also look over research trends on digital forensics through research topics of e-Forensics 2008.
著者
王戦 堀 良彰 櫻井 幸一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.43, pp.45-50, 2006-05-12
被引用文献数
4

迷惑メールに対する,ベイズ確率を用いた統計的なフィルタリング(いわゆるベイジアンフィルタ)の研究は以前から行われていたが,2002年に発表されたP.Grahamの論文"A plan for spam"[1]は人々の注目を集め ベイジアンフィルタを実装したソフトウェアが多数開発されるようになった.ベイジアンフィルタリング[4][5][8]に対する研究は,日本語と英語の電子メールについては盛んである.しかし,中国語闇の電子メールに対しては今まで学術的な解析が行われていなかった.そこで本論文では,中国語の電子メールを処理する際のベイジアンフィルタリングのパラメータと迷惑メール判定精度の関係について分析し,パラメータの最適値について考察した.A statistical filtering based on Bayes theory, so-called bayesian filtering, has been researched for anti-spam through it before. From Graham`s thesis in 2002,a lot of spam mail filters based on the Bayesian filtering have been developed and widely applied to the real system in recent years.The implementation of the statistical filtering corresponding to the e-mail written in English and Japanese has already been developed. On the other hand,the implementation of the statistical filtering corresponding to e-mail written in Ohinese is still few. In this thesis、we adopted a statistical filtering called as Bsfilter and modified it to filter out e-mails written in Chinese. When we targeted e-mails written in Chinese for experiment,we analyzed the relation between the parameter and the spam mail judgment accuracy of the filtering, and also considered the optimal value of the parameter.