著者
斉藤 敦 後藤 浩治 笹沼 拓也 鈴木 清修 中瀬 太郎 濱崎 勝義
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SCE, 超伝導エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.96, no.174, pp.13-18, 1996-07-24
被引用文献数
1

超伝導体-constrictions-超伝導体(S-c-S)を電界蒸発法を用いて作製した。本手法を用いることにより、constriction長とAndreev反射確率を容易に変化させることができる。実験から得られた準粒子電流特性とその温度依存性は、S-c界面でのsingle-Andreev反射を基礎とする拡張したBTK理論と定量的に一致した。しかし、中にconstrictionが形成される絶縁層(MgO)が薄い場合のトンネル特性のときに観測されたサブハーモニックギャップ構造(SGS)は、界面の散乱ポテンシャルZ〜0になったとき、multiple-Andreev反射を基礎としたOTBK 理論の予想とは異なり4.2KからT_<c,Nb>までの全ての温度領域で観測されなかった。
著者
岡上 久美 鈴木 光夫 富永 隼賢 染矢 和樹 加藤 孝弘 濱崎 勝義
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J90-C, no.6, pp.502-511, 2007-06-01

Bi2Sr2CaCu2Ox (Bi-2212)単結晶を用いた固有ジョセフソン接合の作製法として開発した自己平たん化法,及び固有ジョセフソン特性(臨界電流,リターン電流)の温度依存性について述べる.自己平たん化法では,ジョセフソン接合窓(スタック部)以外のBi-2212単結晶を希塩酸(0.20%, pH 1.40)に浸漬させ,絶縁体へ改質させた層を平たん化層として用いる.作製したBi-2212スタックの臨界電流及びリターン電流の温度依存性Ir(T)を測定した結果,臨界電流は高温(T>40 K)でAmbegaokar-Baratoff理論から上方にずれていた.一方,リターン電流は約40 Kから徐々に増加し始め,80 K程度で極大値をとった後,臨界電流の温度曲線と一致(ヒステリシスが消滅)した.このIr(T)特性を,Zappeモデルを用いて解析した.解析にはBi-2212のc-軸抵抗の温度特性(T>Tc)の現象論モデル(Heineモデル)から推定されるジョセフソンバリヤ層の抵抗の温度依存性を考慮した.このモデルでIr(T)特性の実験曲線の形を良く説明することができたが,パラメータの定量的な議論にはまだ課題が残されている.