著者
山本 敏之 濱田 康平 清水 加奈子 小林 庸子
出版者
一般社団法人 日本摂食嚥下リハビリテーション学会
雑誌
日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌 (ISSN:13438441)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.207-214, 2009-12-31 (Released:2020-06-28)
参考文献数
13

【目的】入院中の統合失調症患者の窒息リスクを評価するために,摂食・嚥下状況を調査し,窒息の既往がある患者に有意な内容を同定した.統合失調症患者の窒息リスクのスクリーニング法を考案した.【対象と方法】統合失調症患者の摂食・嚥下状況に関する13 の質問で構成された摂食・嚥下評価表を作成した.看護師が評価表を使って入院中の統合失調症患者98 人を評価した.診療録から対象の窒息の既往を調査し,窒息の既往の有無で2 群に分類した.評価表で得られた回答を2 群で比較した.判別分析によって,統合失調症患者の窒息の既往の判定に寄与する質問を同定した.統合失調症患者の窒息リスクのスクリーニング法を作成した.【結果】窒息の既往がある患者は4 人,窒息の既往がない患者は94 人であった.窒息の既往がある統合失調症患者に有意に多かった回答は,「義歯が必要であるが使用していない」 (p=0.03),「ほとんど丸飲みする」(p<0.01),「今までに盗食や隠れ食べがある」 (p<0.01),「飲み込みが改善した」 (p=0.03) であった.窒息の既往がある患者に有意に少なかったのは,「口に食物をためたままなかなか飲み込まない」 (p<0.01) であった.判別分析から作成したスクリーニング法は,「ほとんど丸飲みする:+ 1 点」「今までに盗食や隠れ食べがある:+ 1 点」「飲み込みが改善した:+ 2 点」で構成され,3 つの項目の合計が2 点以上のとき窒息のリスクが高いと判定した.このスクリーニング法は判別率92.9%,敏感度100%,特異度92.6% であった.【結論】統合失調症患者の窒息の背景には,摂食動作の異常や精神疾患による異常行動があり,飲み込みが改善した患者で発生しやすいことが示唆された.統合失調症患者の窒息のリスクマネージメントに有用なスクリーニング法と摂食・嚥下評価表を提案した.
著者
武田 修平 蘇 紹華 濱田 康平 三末 和男 田中 二郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.20, pp.1-8, 2015-03-06

膨大なデータの活用のために,仮説を定めずに特徴的なパターンを探すような探索的分析が行われることが多い.時刻付きデータに関してもそのような分析作業ができれば,複数の商品の購買履歴から他の商品とは違う周期性を持つ商品や突発的に販売が伸びた商品など,予期しないパターンをもつ商品を探しだすことができる.さらには,その要因を探り新たな販売戦略につながる可能性もある.ただし,時刻付きデータの可視化手法の多くは,ある種の商品の販売のような一つの事象集合に対して,1 年周期のような定められたパターンを効果的に見せるよう設計されている.そのため,周期を指定せずに周期性の強い商品を抽出するとか,何らかの周期性はあるが他とは違う傾向のある商品を抽出するといった作業には向いていない.このような問題に対して,我々は時刻付きデータの分析に有益だと考えられる特徴の洗い出しを行うとともに,定式化を行なった.さらに,それらの特徴を視覚的に観察しながら,時刻付きデータの分析が行えるツールを開発した.