著者
山路 徹 審良 善和 濱田 秀則 山田 一夫
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集E (ISSN:18806066)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.21-37, 2010 (Released:2010-02-19)
参考文献数
22
被引用文献数
1

海洋環境下におけるコンクリートの劣化性状および劣化指標に関する検討を行うため,実港湾コンクリート構造物から採取したコアおよび自然海水中に長期間暴露された試験体を用い,ビッカース硬さ分布,中性化深さ,EPMAによる各種元素(マグネシウムMg,硫黄S,塩素Clなど)濃度分布,等の測定を行った.その結果,中性化深さとMgの侵入深さとの相関が高いことが確認された.一方,表面近傍でClの濃度が低下する範囲(ycl)と中性化深さの相関は必ずしも高くなく,yclは硫酸イオンの存在を表しているSの侵入深さとの相関が高いことが確認された.また,ビッカース硬さの低下が見られた範囲(劣化深さとみなす)とMgの侵入深さには良い相関が確認され,Mgの侵入深さが劣化指標となりうる可能性が示された.
著者
タレク・ウディン モハメッド 濱田 秀則
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.23-26, 2008
被引用文献数
1

コンクリート中の鉄筋の腐食は, コンクリートの専門家 (研究者, 技術者) にとって, 鉄筋コンクリートの耐久性を阻害する主要因として共通の関心事項である。この問題に関しては古くから数多くの研究が実施されてきた。しかし, 実際の構造物において鉄筋の腐食がどのように進行するのかを正確に把握するための一手法として, 長期暴露試験の意義は大きく, 構造物の耐用年数を正確に評価するための基礎的かっ重要なデータを得ることができる。このような背景に鑑み, 本文においては, これまでに筆者らが実施してきた長期暴露試験より得られた, 中性化による鉄筋の腐食および塩化物イオンによる鉄筋の腐食に関するいくつかの貴重な結果を取りまとめるものである。これらの結果は, また短期間に実施する促進試験の結果と比較する意味でも貴重なものである。