著者
山路 徹 審良 善和 濱田 秀則 山田 一夫
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集E (ISSN:18806066)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.21-37, 2010 (Released:2010-02-19)
参考文献数
22
被引用文献数
1

海洋環境下におけるコンクリートの劣化性状および劣化指標に関する検討を行うため,実港湾コンクリート構造物から採取したコアおよび自然海水中に長期間暴露された試験体を用い,ビッカース硬さ分布,中性化深さ,EPMAによる各種元素(マグネシウムMg,硫黄S,塩素Clなど)濃度分布,等の測定を行った.その結果,中性化深さとMgの侵入深さとの相関が高いことが確認された.一方,表面近傍でClの濃度が低下する範囲(ycl)と中性化深さの相関は必ずしも高くなく,yclは硫酸イオンの存在を表しているSの侵入深さとの相関が高いことが確認された.また,ビッカース硬さの低下が見られた範囲(劣化深さとみなす)とMgの侵入深さには良い相関が確認され,Mgの侵入深さが劣化指標となりうる可能性が示された.
著者
宇津野 伸二 山路 徹 与那嶺 一秀 審良 善和 小林 浩之 渡部 要一 吉田 倫夫 前薗 優一 川瀬 義行 松本 茂
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造) (ISSN:21856567)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.220-238, 2017 (Released:2017-06-20)
参考文献数
13
被引用文献数
1

本報では,海水中から海底土中部に設置された港湾鋼構造物の流入電流および電位を連続測定し,海底土中部の電気防食特性について検討を行った.海底土中部では海底面からの深度が深くなるにつれ防食管理電位に達するまでの期間が延びるものの,電気防食によって十分な防食効果が得られることが確認された.さらに,海底土中部の電気防食メカニズムを検証した結果,微弱でも防食電流を供給することにより,現在の設計で想定されている防食電流以下であっても防食効果は得られると考えられた.また,海底土中部の土壌抵抗が防食電流の供給に影響を及ぼすことを確認し,有限要素法を用いた電位・電流密度分布解析により,土壌抵抗率を考慮した電気防食設計手法を検討した.
著者
審良 善和 戴 建国 加藤 絵万 横田 弘
出版者
日本コンクリート工学協会
雑誌
コンクリート工学年次論文集 (ISSN:13477560)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.631-636, 2008
被引用文献数
1

表面含浸材の港湾RC構造物への適用を目的に,タイプの異なる吸水防止材を小型RC供試体に塗布し,実海水を利用した海水シャワー散布と乾燥の乾湿繰り返しによる屋外暴露試験を実施した。その結果,いずれの吸水防止材も塗布なしのものに比べ補修効果は認められた。ただし,ひび割れの発生時期(塗布の前後)によってひび割れ中への塩化物イオンの浸透性は異なり,吸水防止材の種類によっての防水効果が異なる傾向を示した。また,鉄筋の防食効果も異なることが明らかとなった。以上のことから,吸水防止材を塗布することで構造物の延命化効果は得られるが,その効果は吸水防止材の種類によって異なることが予想された。
著者
福永 隆之 武若 耕司 山口 明伸 審良 善和
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学論文集 (ISSN:13404733)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.21-31, 2018 (Released:2018-05-15)
参考文献数
12
被引用文献数
2

本研究の目的は,鹿児島県各地に分布するシラスを混和材として利用したセメント系材料の耐塩害性能の評価である。その際,主に,試験前後の生成物の変化や各種塩化物イオン量に着目することにより,シラスを用いた供試体の塩化物イオンとの反応性および塩分浸透特性について明らかにすることを試みた。その結果,シラスを混和した供試体は,塩水浸漬環境下において,シラスの反応率が促進されることを確認した。加えて,塩化物イオン固定化率の上昇および見掛けの拡散係数が低下する結果を得た。これは,シラスを混和することにより,ポゾラン反応生成物が生成され,その水和物によって,内部組織の緻密化および塩化物イオンの固定が起きたためと考察した。また,シラス中の微粒分の含有割合が大きいほどシラスの反応率および耐塩害性能が高いことが示された。