著者
瀧 和夫 関 竜宏 物部 長順 加藤 耕一
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
環境システム研究論文集 (ISSN:13459597)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.425-430, 2007-10-13 (Released:2010-06-04)
参考文献数
8

生態系保全を重視した富栄養化湖沼の水質改善のためには, 異常増殖した植物プランクトンのみならず栄養塩も含めた除去が必要であり, その除去物も資源として捉えるべきである。本研究では, 浮上分離技術を用いてマグネシウム化合物による植物プランクトンおよび湖水中のアンモニア性窒素, リン酸性リンの除去可能性について検討した. 結果, 効果的な浮上除去に至らなかったが, 水酸化マグネシウムの凝集効果による固液分離ならびに原水のpHを制御することで, 各pHでのPO4-PおよびNH3-N除去量の総和および除去率は0.25mg-P/L (90%), 0.10mg-N/L (17%) と同時除去可能であった。以上より, 植物プランクトンおよび栄養塩の同時処理による水質改善, リン資源回収の可能性が見出された。
著者
立本 英機 天野 佳正 町田 基 相川 正美 藤村 葉子 Dennis GEORGE Sharon BERK 瀧 和夫
出版者
環境技術学会
雑誌
環境技術 (ISSN:03889459)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.357-364, 2007-05-20 (Released:2008-12-25)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

本研究では, 湖沼の底泥から溶出する栄養塩濃度を加圧浮上分離 (DAF), MgO散布およびこれらを併用したハイブリッド処理によって抑制することで湖水のTN/TP比制御を試みた. 各底泥処理によるアオコの抑制効果を, TN/TP比とアオコの増殖量を表わすモデルによって検証し, 底泥処理実験の妥当性について検討した. その結果, DAF処理は窒素に対して抑制効果が高く湖水のTN/TP比を減少, MgO散布処理はリンの抑制に対して効果がありTN/TP比を増加, また, DAF処理とMgO散布処理を併用したハイブリッド処理は底泥から溶出する窒素およびリンの濃度を高い割合で抑制でき, 特にリンの抑制が顕著であることからTN/TP比を増加させる効果があることが示された. 各底泥処理を施したときのTN/TP比とアオコの増殖量の関係は, 既存のモデルと高い整合性を示した. 各底泥処理によって湖水のTN/TP比を制御することができるとともに, Chl.a濃度を高い割合で抑制できることがわかった. このことから, 各底泥処理方法は, 湖水のTN/TP比を制御できるという観点から湖沼の富栄養化対策の一手法として期待できる.