著者
髙山 恵律子 上村 義季 近藤 淳 吉川 大和 瀬戸 英伸
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.16, no.6, pp.422-426, 2017

8歳,男児。マイコプラズマ感染によると考えられた Stevens-Johnson 症候群を発症した。高熱と咳嗽を伴い,皮膚の紅斑と水疱はごく少数であったが,眼,口唇・口腔,陰部の粘膜症状が重症で2度のステロイドパルス療法および免疫グロブリン投与を要した。翌年,マイコプラズマに再び感染した。その際は咳嗽に続き高熱と,全身に猩紅熱様の紅斑を生じたが,粘膜症状はごくわずかで,ステロイド外用のみで速やかに軽快した。マイコプラズマの再感染時,Stevens-Johnson 症候群や多形紅斑を再発した報告は少数あるが,本例のように表現型が異なる皮膚粘膜症状を呈した報告は過去に見出せなかった。ただしマイコプラズマ感染による皮膚粘膜症状は多彩であり,マイコプラズマ感染と因果関係が広く知られた症状と異なる場合や,皮膚粘膜症状が複数回生じた場合,上気道症状を伴わない場合等は,マイコプラズマ感染の検索が見落とされやすく注意が必要である。マイコプラズマ感染に伴う皮膚粘膜症状はおもに宿主免疫応答により生じるといわれるが,加えて遺伝的要因,菌株要因など多要因の関与が推察された。(皮膚の科学,16: 422-426, 2017)
著者
三嶋 豊 芝田 孝一 瀬戸 英伸 大山 康明 波多江 慎吉
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.134-150, 1994 (Released:2010-08-25)
参考文献数
22
被引用文献数
3

コウジ酸 (KA) のメラニン生成抑制作用を基礎的ならびに臨床的に検索した。マウスB16メラノーマ細胞から抽出したtyrosinaseの活性は添加KA濃度に依存して抑制された。DOPAchromeからDHIを経由するメラニン重合体形成過程において, KAは更にDHIに直接的に反応し中間代謝物を形成することにより抑制的に働くことが見出された。培養B16細胞系でKA 2.5mM添加により, tyrosinase活性の低下と共に細胞は白色化する。なお, この細胞をKA無添加の新鮮培養液で更に培養するとtyrosinase活性およびメラニン生成は回復した。黒色金魚を0.15%KA添加水中で54日間飼育すると槌色し黄淡褐色へと変化した。これらKA群の金魚皮膚のtyrosinase活性は, 対照群の18.2%に低下した。有色モルモットで紫外線照射誘導色素沈着もKA塗布により濃度依存的に抑制された。本邦人男性31名および女性46名のボランティアの上腕内側に紫外線を照射し, 1%KAクリームを塗布し, 男性90.3%, 女性75.5%のKAクリーム塗布部位の色素沈着が明らかに抑制された。以上の基礎的知見も基に, 1%または2.5%KAクリームを肝斑, 日光性および老人性黒子, 炎症後色素沈着ならびに雀卵斑の患者に2カ月以上適用し, 合計204例で臨床効果を調べた。有効以上の例は93例 (45.6%) やや有効以上は151例 (74.0%) であったが, KA1%と2.5%の両群の有効率には大差がなかった。
著者
三嶋 豊 芝田 孝一 瀬戸 英伸 大山 康明 波多江 慎吉
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.134-150, 1994
被引用文献数
1

コウジ酸 (KA) のメラニン生成抑制作用を基礎的ならびに臨床的に検索した。マウスB16メラノーマ細胞から抽出したtyrosinaseの活性は添加KA濃度に依存して抑制された。DOPAchromeからDHIを経由するメラニン重合体形成過程において, KAは更にDHIに直接的に反応し中間代謝物を形成することにより抑制的に働くことが見出された。培養B16細胞系でKA 2.5mM添加により, tyrosinase活性の低下と共に細胞は白色化する。なお, この細胞をKA無添加の新鮮培養液で更に培養するとtyrosinase活性およびメラニン生成は回復した。黒色金魚を0.15%KA添加水中で54日間飼育すると槌色し黄淡褐色へと変化した。これらKA群の金魚皮膚のtyrosinase活性は, 対照群の18.2%に低下した。有色モルモットで紫外線照射誘導色素沈着もKA塗布により濃度依存的に抑制された。本邦人男性31名および女性46名のボランティアの上腕内側に紫外線を照射し, 1%KAクリームを塗布し, 男性90.3%, 女性75.5%のKAクリーム塗布部位の色素沈着が明らかに抑制された。以上の基礎的知見も基に, 1%または2.5%KAクリームを肝斑, 日光性および老人性黒子, 炎症後色素沈着ならびに雀卵斑の患者に2カ月以上適用し, 合計204例で臨床効果を調べた。有効以上の例は93例 (45.6%) やや有効以上は151例 (74.0%) であったが, KA1%と2.5%の両群の有効率には大差がなかった。

1 0 0 0 OA Pachydermodactyly

著者
瀬戸 英伸 花垣 博史 荒木 典子 谷 昌寛
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.42-47, 1994 (Released:2010-08-25)
参考文献数
12
被引用文献数
1

Pachydermodactylyの16歳男性例を報告した。13歳時より, 両側第II指から第V指の近位指節間関節部皮膚の背面および側面に, 無症候性腫脹が生じてきた。病理組織学的に, 過角化を伴った表皮肥厚を認め, 真皮は膠原線維の増生による真皮肥厚を認めた。また, 真皮上層から中層にかけて弾力線維の数の減少, 断裂, 縮小化を認めた。電顕的に, 弾力線維は分枝傾向が強く, エラスチン内のmicrofibrilが減少し, エラスチンに取り込まれていないmicrofibrilがエラスチン周囲に多数認められた。自験例は, 臨床的組織学的にPachydermodactylyの典型例と考えられるが, 電顕像において, cutislaxa様のelastolysisが認められた点が, その病因を考える上で興味深いと考えられた。