著者
八谷 瑞紀 熊野 亘 中村 正造 堀江 淳 村田 伸
出版者
公益社団法人 佐賀県理学療法士会
雑誌
理学療法さが (ISSN:21889325)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.83-87, 2022-02-28 (Released:2022-04-29)
参考文献数
9

[目的]パーキンソン病患者を呼吸機能検査から正常群と拘束性換気障害群の 2 群に分け,身体機能および日常生活活動との関係について明らかにすること。[対象]パーキンソン病患者15人。[方法]%VC が80%以上の正常群,80% 未満の拘束性換気障害群の 2 群に分けた。評価項目は,大腿四頭筋筋力,足指把持力,虚弱高齢者用10秒椅子立ち上がりテスト,重心動揺,Functional reach test(FRT),片足立ちテスト,5 m 歩行テスト,10m 障害物歩行時間,timed up and go test,機能的自立度評価法を用いた。2 群間をMann-Whitney の U 検定により比較した。[結果]拘束性換気障害群は正常群よりも片足立ちテストは有意に保持時間が短く(p=0.04),FRT は有意に到達距離が短かった(p=0.01)。一方,それ以外の項目は2群間に有意な差を認めなかった。[結論]パーキンソン病特有の運動障害により拘束性換気障害を生じる程の筋の柔軟性および胸部可動性の低下は,片足立ちテストや FRT にも影響を与える可能性が示された。
著者
八谷 瑞紀 村田 伸 熊野 亘 前田 弘美 能隅 良子 溝上 昭宏
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.391-395, 2012 (Released:2012-09-07)
参考文献数
28

〔目的〕虚弱高齢者用10秒椅子立ち上がりテスト(Frail CS-10)がパーキンソン病患者に応用可能か否かを検討した.〔対象〕パーキンソン病患者21名とした.〔方法〕Frail CS-10と従来から下肢筋力の代表値として用いられている大腿四頭筋筋力を測定し,下肢機能の指標(重心動揺,TUG,5 m最速歩行,10 m障害物歩行,FIM-M)との関連を検討した.〔結果〕Frail CS-10はTUG,10 m障害物歩行およびFIM-Mとの間に有意な相関を示した.一方,大腿四頭筋筋力は,すべての身体機能との間に有意な相関を示さなかった.〔結語〕従来から下肢筋力の代表値として用いられている大腿四頭筋筋力よりもFrail CS-10の方が,パーキンソン病患者の下肢機能を推測するための簡便な評価法である.
著者
八谷 瑞紀 村田 伸 熊野 亘 前田 弘美 能隅 良子 溝上 昭宏
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.87-90, 2012 (Released:2012-02-21)
参考文献数
21
被引用文献数
1

〔目的〕パーキンソン病患者に有用なバランステストを検証するために,パーキンソン病患者を対象に臨床で使用頻度の高いバランステストを数種類測定し,どのバランステストがADLと関連するのかについて検討した.〔対象〕パーキンソン病患者20名(平均年齢72.4歳)を対象とした.〔方法〕TUG,片脚立ちテスト,FRTおよび重心動揺(外周面積,総軌跡長)を測定し, FIM-MおよびFIM-M下位項目との関係をピアソンの相関係数を用いて検討した.〔結果〕TUGはFIM-Mおよび下位項目である移乗,移動動作との間に有意な相関が認められ,セルフケアと排泄とは有意な相関は認められなかった.その他の片脚立ちテスト,FRT,外周面積,総軌跡長とFIM-MおよびすべてのFIM-M下位項目との間には有意な相関は認められなかった.〔結語〕得られた知見から,今回測定を行ったバランステストの中では,TUGのみがパーキンソン病患者のADLと関連していることが示唆された.