著者
宗像 昭子 鈴木 利昭 新井 浩之 横井 真由美 深澤 篤 逢坂 公一 松崎 竜児 三浦 明 渡辺 香 森薗 靖子 権 京子 金澤 久美子 宮内 郁枝 鈴木 恵子 久保 和雄 尾澤 勝良 前田 弘美 小篠 榮
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.34, no.13, pp.1525-1533, 2001-12-28 (Released:2010-03-16)
参考文献数
14

今回我々は, 当院で維持血液透析を施行している安定した慢性腎不全患者59名を対象患者として, ベッドサイドにて簡便に使用できるアイスタット・コーポレーション社製ポータブル血液分析器i-STATを用いて, 透析前後で全血イオン化Ca (i-Ca) 濃度を測定し, 血清T-Ca濃度との関係について検討し, 以下の結果を得た.1) 透析前後における血清T-Ca濃度, 全血i-Ca濃度は, それぞれ9.43±0.90→10.54±0.70mg/dl (p<0.05), 1.26±0.10→1.30±0.07mmol/l (p<0.0001) と, いづれも有意な増加を示した. 2) Caイオン化率は, 53.43±0.03→49.55±0.04% (p<0.001) へと透析後有意に低下した. この原因として, 血液pHの変化の影響が考えられ, 血液pHとCaイオン化率との間には明らかな負の関係が認められた. 3) 透析前後における, 血清T-Ca濃度と全血i-Ca濃度の関係について検討したところ, 透析前ではy=7.507x+0.015 (r=0.839; p<0.001) と強い正の相関が認められたが, 透析後においては, 全く相関が認められなかった. この点について, pHならびにAlbを含めた重回帰分析法を用いて検討したところ, T-Ca=3.369×i-Ca+5.117×pH-32.070 (r=0.436, p=0.0052) と良好な結果が得られた. 4) 透析前後の全血i-Ca濃度の測定結果から, 容易に血清T-Ca濃度を換算できるノモグラムならびに換算表を作成した.以上の結果より, ポータブル血液分析器i-STATを用いた, ベッドサイド (“point-of-care”) での全血i-Ca濃度の測定とノモグラムの利用は, 透析室においてみられるCa代謝異常に対して, 非常に有用であると考えられる.
著者
宗像 昭子 鈴木 利昭 新井 浩之 横井 真由美 深澤 篤 逢坂 公一 松崎 竜児 三浦 明 渡辺 香 森薗 靖子 権 京子 金澤 久美子 宮内 郁枝 鈴木 恵子 久保 和雄 尾澤 勝良 前田 弘美 小篠 榮
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 = Journal of Japanese Society for Dialysis Therapy (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.34, no.13, pp.1525-1533, 2001-12-01
参考文献数
14
被引用文献数
1

今回我々は, 当院で維持血液透析を施行している安定した慢性腎不全患者59名を対象患者として, ベッドサイドにて簡便に使用できるアイスタット・コーポレーション社製ポータブル血液分析器i-STATを用いて, 透析前後で全血イオン化Ca (i-Ca) 濃度を測定し, 血清T-Ca濃度との関係について検討し, 以下の結果を得た.<br>1) 透析前後における血清T-Ca濃度, 全血i-Ca濃度は, それぞれ9.43±0.90→10.54±0.70mg/d<i>l</i> (p<0.05), 1.26±0.10→1.30±0.07mmol/<i>l</i> (p<0.0001) と, いづれも有意な増加を示した. 2) Caイオン化率は, 53.43±0.03→49.55±0.04% (p<0.001) へと透析後有意に低下した. この原因として, 血液pHの変化の影響が考えられ, 血液pHとCaイオン化率との間には明らかな負の関係が認められた. 3) 透析前後における, 血清T-Ca濃度と全血i-Ca濃度の関係について検討したところ, 透析前ではy=7.507x+0.015 (r=0.839; p<0.001) と強い正の相関が認められたが, 透析後においては, 全く相関が認められなかった. この点について, pHならびにAlbを含めた重回帰分析法を用いて検討したところ, T-Ca=3.369×i-Ca+5.117×pH-32.070 (r=0.436, p=0.0052) と良好な結果が得られた. 4) 透析前後の全血i-Ca濃度の測定結果から, 容易に血清T-Ca濃度を換算できるノモグラムならびに換算表を作成した.<br>以上の結果より, ポータブル血液分析器i-STATを用いた, ベッドサイド ("point-of-care") での全血i-Ca濃度の測定とノモグラムの利用は, 透析室においてみられるCa代謝異常に対して, 非常に有用であると考えられる.
著者
八谷 瑞紀 村田 伸 熊野 亘 前田 弘美 能隅 良子 溝上 昭宏
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.391-395, 2012 (Released:2012-09-07)
参考文献数
28

〔目的〕虚弱高齢者用10秒椅子立ち上がりテスト(Frail CS-10)がパーキンソン病患者に応用可能か否かを検討した.〔対象〕パーキンソン病患者21名とした.〔方法〕Frail CS-10と従来から下肢筋力の代表値として用いられている大腿四頭筋筋力を測定し,下肢機能の指標(重心動揺,TUG,5 m最速歩行,10 m障害物歩行,FIM-M)との関連を検討した.〔結果〕Frail CS-10はTUG,10 m障害物歩行およびFIM-Mとの間に有意な相関を示した.一方,大腿四頭筋筋力は,すべての身体機能との間に有意な相関を示さなかった.〔結語〕従来から下肢筋力の代表値として用いられている大腿四頭筋筋力よりもFrail CS-10の方が,パーキンソン病患者の下肢機能を推測するための簡便な評価法である.
著者
八谷 瑞紀 村田 伸 熊野 亘 前田 弘美 能隅 良子 溝上 昭宏
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.87-90, 2012 (Released:2012-02-21)
参考文献数
21
被引用文献数
1

〔目的〕パーキンソン病患者に有用なバランステストを検証するために,パーキンソン病患者を対象に臨床で使用頻度の高いバランステストを数種類測定し,どのバランステストがADLと関連するのかについて検討した.〔対象〕パーキンソン病患者20名(平均年齢72.4歳)を対象とした.〔方法〕TUG,片脚立ちテスト,FRTおよび重心動揺(外周面積,総軌跡長)を測定し, FIM-MおよびFIM-M下位項目との関係をピアソンの相関係数を用いて検討した.〔結果〕TUGはFIM-Mおよび下位項目である移乗,移動動作との間に有意な相関が認められ,セルフケアと排泄とは有意な相関は認められなかった.その他の片脚立ちテスト,FRT,外周面積,総軌跡長とFIM-MおよびすべてのFIM-M下位項目との間には有意な相関は認められなかった.〔結語〕得られた知見から,今回測定を行ったバランステストの中では,TUGのみがパーキンソン病患者のADLと関連していることが示唆された.