著者
熊野 浩太郎
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.31, no.6, pp.448-453, 2008 (Released:2008-12-31)
参考文献数
47
被引用文献数
2

ヒトパルボウイルスB19は,小児における伝染性紅斑の原因ウイルスであるが,その他にウイルス直接の障害として,溶血性貧血患者におけるaplastic crisisや免疫不全者における慢性赤芽球癆や胎児水腫の原因となる.また,免疫学的な機序として関節炎や急性糸球体腎炎を発症することが判明している.その他に,関節リウマチや,血管炎,血栓性微小血管障害などとの関連を指摘する報告もある.成人発症例では,関節炎の遷延化により関節リウマチとの鑑別や,補体の低下や自己抗体が検出されることから全身性エリテマトーデスとの鑑別も要する.このように様々な疾患との関連が報告されている感染症であり,また臨床面ではリウマチ膠原病疾患との鑑別を要する重要疾患である.
著者
熊野 浩
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.561-566, 1998-04-15 (Released:2011-10-07)
参考文献数
27

ヘパリンコーティング(HC)回路使用, ヘパリン減量下の炎症性メディエーターの変動からみたHC回路の生体適合性を検討した. 待期的開心術30例を従来回路使用10例(N群), HC回路使用10例(H群), HC回路を使用し, かつヘパリンを減量した10例(L群)に分け, 顆粒球エラスターゼ(GEL), C3a, インターロイキン6(IL-6)および8(IL-8)を, 術前から体外循環(CPB)終了24時間後までの11時点で測定した. N群とH群は初回投与ヘパリンを300U/kg, L群は150U/kgとした. その結果, N群のGEL, C3aはCPB中にH群, L群よりも有意に高値であったが, H群とL群の間に差がなかった. IL-6, IL-8はCPB後にL群では他の2群よりも有意に低値であり, N群ではHC回路の2群よりも高値をとる傾向がみられた. HC回路使用により白血球・補体活性化, サイトカイン上昇は抑制され, ヘパリン減量に伴いこれらの抑制効果はさらに向上することが示された.