- 著者
-
片山 高嶺
- 出版者
- 日本乳酸菌学会
- 雑誌
- 日本乳酸菌学会誌 (ISSN:1343327X)
- 巻号頁・発行日
- vol.27, no.1, pp.17-24, 2016-03-15 (Released:2017-04-26)
- 参考文献数
- 50
ビフィズス菌はヒト腸内の常在菌であり、プロバイオティクスとして広く認知されている。母乳栄養児の腸管ではビフィズス菌優勢な腸内細菌叢が形成されることが古くから知られており、それには人乳に含まれるオリゴ糖成分が関与していると言われてきたが、その詳細を分子レベルで推考するほどの情報は全くなかった。我々の研究グループは 10 年ほど前に、ビフィズス菌がヒト由来の糖質に作用する特異的な酵素を有していることを発見し、そのことがきっかけでヒトとビフィズス菌の共生を考えるようになった。本総説では、その歴史的背景を踏まえながら、ビフィズス菌が有する母乳オリゴ糖分解酵素について紹介する。母乳オリゴ糖は、ヒトとビフィズス菌という分類学上の「界」を超えた生物同士を結びつけた共生因子といえる。