著者
野明 俊裕 荒木 靖三 的野 敬子 牛島 正貴 小篠 洋之 入江 朋子 家守 雅大 高野 正博
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.10, pp.954-960, 2015 (Released:2015-10-31)
参考文献数
21
被引用文献数
1 1

便失禁は,4歳以上の個人が便の排出を制御できない状態が3ヵ月以上にわたり繰り返すことと定義され,成人の便失禁の有病率は2.2%と報告されている.肛門括約筋は,不随意筋である内肛門括約筋と,随意筋である外肛門括約筋,骨盤底筋群で構成され,内肛門括約筋の機能不全では,安静時の肛門管の緊張低下や静止圧の低下をきたす.外肛門括約筋や骨盤底筋群の機能不全では随意収縮圧が低下するが,バイオフィードバック療法により改善するといわれている.便失禁に対するバイオフィードバック療法は有用であるとする報告は多いが,単独での効果は疑問視されている.しかし,骨盤底筋体操にバイオフィードバック療法を加えることで治療効果が高まると報告されており便失禁治療においては重要なアイテムの1つである.今回の論文ではバイオフィードバック療法の文献的考察を行い,当院で行っているバイオフィードバック療法の実際を概説する.
著者
森本 光昭 辻 義明 原 靖 古閑 敦彦 牛島 正貴 田口 順 吉村 文博
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.163-168, 2005-02-01
被引用文献数
5

患者は68歳の女性で,主訴は腹部腫瘤.身体所見では左側腹部に弾性硬,可動性良好な約15cm大の腫瘤を認めた.腹部CT所見では胃小彎側前壁に接して11.5×9.0cmの腫瘍を認めた.手術所見では腫瘍は約15cm大,胃体中部小彎側に一部癒着し胃体部前壁に騎乗していた.腫瘍および胃部分切除を行い,腫瘍は完全切除された.摘出標本では腫瘍は13.5×10.0×9.0cm凹凸不整,弾性硬で,大部分は出血壊死を伴う嚢胞性腫瘍であった.病理所見では紡錘形腫瘍細胞が密に錯綜して増殖していた.免疫組織染色にてKIT(CD117), CD34, Vimentinが陽性,Desmin, S-100 proteinが陰性のためGISTと診断した.術後1年たった現在,再発の兆候はない.