著者
渡辺 誠 牧原 寛之 矢吹 みや子
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.20, no.5, pp.413-417, 1988-09-01 (Released:2011-08-10)
参考文献数
12

倍体/4倍体モザイク染色体異常を有する5歳5カ月の女児の1症例について, その発達的側面を含めて報告した. 重度精神遅滞, 小頭症, 両眼離開, 耳介低位, 口蓋裂, 小下顎症, 第5指内攣・単一屈曲線, 内反足, 内斜視などの臨床像を認め, 頭部CTでは, 無脳回症を疑わせる脳回異常および側脳室拡大がみられた. また, 小脳虫部欠損も疑われた. 脳波検査で右側頭部に鋭波の出現がみられたが, 臨床的には何ら発作は認められなかった. 遠城寺式乳幼児分析的発達検査法を用いて2歳11カ月より5歳5カ月までの発達を経時的に追跡した. その結果, 発達の全般的な遅れおよび発語面における発達の著しい遅れという特徴をみた. 緩徐にではあるがなお発達を示しつつあり, 今後精神発達を促進するために治療教育的アプローチが必要であると考えられる.