- 著者
-
牧野 秀子
畑江 敬子
島田 淳子
- 出版者
- The Japan Society of Home Economics
- 雑誌
- 日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
- 巻号頁・発行日
- vol.38, no.8, pp.719-723, 1987-08-20 (Released:2010-03-10)
- 参考文献数
- 15
- 被引用文献数
-
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乾燥大福豆の食塩水浸漬が, 煮熟後のやわらかさを促進する効果の機構を明らかにするために, 官能検査, 物理的測定, 食塩およびカルシウムの含量・ペクチン量の測定によって, 水浸漬の場合と比較検討し, 次の結果を得た.1) 食塩水 (0.7%) に浸漬後煮熟した豆は, 官能検査および物理的測定により, 水浸漬後の煮豆よりも子葉が有意にやわらかいこと, 種皮は顕著にそしゃくしやすく磨砕されやすいことが認められた.2) 食塩水浸漬豆の食塩含量は, 水浸漬豆のそれにくらべて, 子葉では約2倍, 種皮では約3倍と多く, カルシウム量は子葉では約1/4, 種皮では約2/3と少なかった.食塩水浸漬中に食塩が吸収されるに伴って, -織中のカルシウムが溶出したことが示された.3) 食塩水浸漬煮豆のペクチン量は, 水浸漬煮豆のそれにくらべると, 子葉, 種皮ともにメタリン酸塩可溶性ペクチンが少なかった.カルシウムの溶出に伴ってペクチン質が変化したことが示された.4) 水浸漬煮豆の種皮は, その官能特性およびペクチン含量により, 難崩壊性現象があらわれたことが示唆された.食塩水浸漬煮豆の種皮では, これが抑制されたと考えられた.