著者
猪熊 茂子 宮本 昭正
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.1-6, 1979

症例1は, 41才男子で, 活字被膜用のアラビアゴムを溶解する仕事に従事8年後に鼻炎を発症, 休業時には発作はない.皮膚テスト, 吸入誘発テスト, RAST, 沈降反応で陽性, IgE 高値, 好酸球増多, 配置転換, disodium cromoglycate で軽症となる.症例2は, 48才女子で, アラビアゴム小売業従事6年後より鼻炎を発症.休業時には発作はない.皮膚テスト, 点鼻誘発テスト陽性, IgE 値, 正常範囲, RAST陰性, 好酸球軽度増多, 抗ヒスタミン剤にてコントロール.症例2の勤務する会社の従業員11名中9名に問診および, 皮膚 prick test 施行, 4名が皮膚テスト陽性, うち3名に鼻炎, 1名に蕁麻疹, 皮膚テストの陽性率は, 健常者群, アトピー外来受診患者に比し統計的に有意であつた.以上により, アラビアゴムが主として, 吸入性抗原として, 職業性アレルギーを高率にひきおこす可能性を指摘した.また, 抗原物質は, RAST 陽性により蛋白質である疑いがもたれた.