- 著者
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猪飼 周平
- 出版者
- 社会政策学会
- 雑誌
- 社会政策 (ISSN:18831850)
- 巻号頁・発行日
- vol.2, no.3, pp.21-38, 2011-03-20 (Released:2018-02-01)
本稿の課題は,猪飼[2010]において提示された「病院の世紀の理論」から,次代のヘルスケアと目される地域包括ケアシステムに関する社会理論を展望することである。本稿では,現在生じている健康概念の転換が,「医学モデル」から「生活モデル」への転換として生じていることを踏まえ,次の点を指摘した。第1に,健康概念の転換に適合的なヘルスケアは,より包括的かつ地域的であるという意味において地域包括ケアシステムを指向すること,第2に,健康概念の転換が,過去30年間にわたり社会福祉に広範に生じている生活支援の作法の転換を背景としていると考えられること,第3に,地域包括ケアシステムの構築に際しては,従来のヘルスケアとは質的に異なる,専門職の分業,社会関係資本の構築,コスト増大への対応等に関する課題の解決が必要になることである。