著者
井部 俊子
出版者
一般社団法人 日本総合健診医学会
雑誌
総合健診 (ISSN:13470086)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.443-446, 2016

健診事業を受診者の視点で捉え、「健診サービス」の特徴をサービスビジネスとして検討した。<br> サービスの特徴は、①無形性、②生産と消費の同時性、③異質性、④結果と過程、⑤共同生産であり、とりわけ顧客との共同生産は、サービス内容の決定や品質管理、学習、マーケティングの機能があることを述べた。<br> では、健診サービスを受ける顧客(受診者)はどのような経験をしているのかを探るため受診者にインタビューを実施した。4人のナラティブからみえてきたことは、①受診者はそれぞれの思い(受診理由)がある。②受診者は健診結果に関心を集中している。③健診サービス提供者との関係は「ドライな距離感」がよい。④しかし、「今年もお会いできてよかった」と言ってくれるつながりがあると保健指導の価値が高まる。
著者
井部 俊子
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.459-464, 2003-06-01

はじめに 医療機関において医療事故防止を推進し,安全な医療を提供していくためには,個々の医療従事者の患者安全確保に対する意識改革が求められる一方,医療事故防止における組織的な取り組みが不可欠である.医療は,複雑かつ高度化しており,さらに医療サービス提供プロセスには多くの医療従事者がかかわっているため,医療従事者個人の努力では対処できない問題があるからである. 医療機関における安全管理体制の構築は,部門や職種ごとの安全管理体制のみならず,組織横断的に安全管理を担う体制作りが重要であり,病院管理者の責務である.医療安全管理を機能させるために中心となって活動する役割をもつリスクマネジャーの配置が試みられ,その後,診療報酬制度にも反映されることになった. 米国では,アメリカ・ヘルスケア・リスクマネジメント学会(American Society for Healthcare Risk Management:ASHRM)がヘルスケア・リスクマネジャーの認定を行っている.ASHRMでは,ヘルスケア・リスクマネジャーの業務範囲を,①損失の防止と回復,②訴訟管理,③リスクファイナンシング,④規制と認定,⑤リスクマネジメント・オペレーション,⑥生命倫理,の6領域に分類している.これらの業務内容は,米国におけるリスクマネジメントが医療事故による訴訟対策が発端となっているとされ,「組織体」における損失予防という意味合いが強いものとなっている. 一方,わが国では,医療機関におけるリスクマネジャーの組織的位置づけは様々であり,その役割や機能について標準的なあり方が十分に検討されてこなかった. 本稿では,平成13(2001)年度に実施した医療技術評価総合研究事業「医療機関におけるリスクマネジャーの機能に関する研究」(主任研究者井部俊子)の結果を元に,医療安全に取り組む医療安全管理者の実態を報告し,わが国における医療安全管理体制のあり方について考察したい.
著者
伊東 美奈子 光永 悠彦 井部 俊子
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.254-262, 2017 (Released:2017-12-21)
参考文献数
14
被引用文献数
3

目的:既卒採用者の離職の状況が不明であることから,全国的な調査を行い,既卒看護師の採用・離職の特徴を明らかにする.方法:都道府県毎の病院数や病床数によって層化し,無作為抽出された1,200病院の看護部門長を対象に,病院属性と2013年度の採用数および年度内離職者数を尋ねる質問紙調査を行った.既卒と新卒の結果について比較した.結果:246施設の回答を分析した.2013年度に採用を行った施設は240病院であった.既卒者は300床未満,一般病院,療養病床や精神病床を主とする病院で採用され,新卒者は300床以上,特定機能病院や地域医療支援病院,一般病床を主とする病院で採用される傾向があった.また,新卒は非常勤採用が0.8%とほぼ常勤で採用されるのに対し,既卒は24.3%が非常勤採用であった.採用年度内の離職率は新卒7.9%に対し既卒は17.9%と高く,特に100床未満の病院において既卒者が離職しやすい傾向があった.結論:既卒採用者は,新卒採用者より早期離職に至りやすく,定着対策,離職対策を早急に検討する必要がある.
著者
柳井 晴夫 亀井 智子 中山 和弘 松谷 美和子 岩本 幹子 佐伯 圭一郎 副島 和彦 中野 正孝 中山 洋子 西田 みゆき 藤本 栄子 安ヶ平 伸枝 井上 智子 麻原 きよみ 井部 俊子 及川 郁子 大久保 暢子 小口 江美子 片岡 弥恵子 萱間 真美 鶴若 麻理 林 直子 廣瀬 清人 森 明子 奥 裕美 外崎 明子 伊藤 圭 荘島 宏二郎 植田 喜久子 太田 喜久子 中村 洋一 菅田 勝也 島津 明人 金城 芳秀 小林 康江 小山 眞理子 鶴田 恵子 佐藤 千史 志自岐 康子 鈴木 美和 高木 廣文 西川 浩昭 西山 悦子 野嶋 佐由美 水野 敏子 山本 武志 大熊 恵子 留目 宏美 石井 秀宗 大久保 智也 加納 尚美 工藤 真由美 佐々木 幾美 本田 彰子 隆 朋也 中村 知靖 吉田 千史 西出 りつ子 宮武 陽子 西崎 祐史 山野 泰彦 牛山 杏子 小泉 麗 大西 淳子 松本 文奈 鶴見 紘子
出版者
聖路加看護大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

近年、看護系大学の急増と医療の高度化に伴い、卒業までに取得すべき看護実践能力の評価の重要性が増加している。その一環として、臨地実習に入る直前の段階までに看護学生が取得すべき知識・能力を正しく評価しておくことは看護実習の適正化のための急務の課題である。このような状況に鑑み、申請者は、2008~2010年に科学研究費補助金を受け、看護系大学の学生が臨地実習以前に必要とされる知識・能力の有無を検証することを目的として、看護学18領域から約1500の多肢選択式形式の設問を作成し、730名の学生に紙筆形式のモニター試験、および、220名の学生に対するコンピュータ試験(CBT:Computer Based Testing)を実施し、その結果を比較し、全国看護系大学共用のコンピュータ試験の有用性を確認した。