著者
玉城 武
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.77, no.2, pp.74-77, 1982-02-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
13

沖縄県特産の泡盛はつい数年前まで家つき酵母によって醸造されていた。昭和47年の本土復帰以来, 沖縄国税事務所歴代の鑑定官の努力により優良泡盛酵母が分離され, その実用化によって泡盛の品質及び収量が一段と向上した。本研究の中心的役割を果してきた筆者に, この酵母について解説していただいた。
著者
玉城 武
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.82, no.5, pp.310-315, 1987-05-15 (Released:2011-11-04)

筆者は, 泡盛の古来から伝承された独得の製法に新しい観点から, 勢力的にアプローチされ, 多くのすばらしい研究結果を発表されている。その中から, 泡盛1号酵母による泡盛異常発酵現象発現の抑制, 貯蔵における正常発酵泡盛の熟成過程の動向, 多変量解析法による泡盛の評価について, 3回に分けて解説していただくことにした。
著者
玉城 武 松下 和弘 樋岡 克哉 高宮 義治
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.191-197, 1986 (Released:2009-02-18)
参考文献数
17
被引用文献数
4 5

泡盛をカメあるいは密閉容器のいずれで熟成させても,その味および香りは向上し,また水の17O-NMRシグナルの線幅は減少することが認められた.線幅が減少することは,分子運動の自由度が増加することを意味し,このことから熟成過程は水の水素結合が切断され,クラスターが小さくなっていく過程と考えられる.その熟成過程で変化するのは,水分子のOH墓であって,エタノールのOH基は変化しないことが確認された. また,観測周波数の高い270.16MHz 1H-NMRで観測した結果,新酒では水のOH基とエタノールのOH基は分離して観測されるが,古酒ではOH基同士の交換速度が速くなり,1本になってしまう.この結果より,プロトンが水素結合から解放されて運動が自由になっていることが示唆される.このことは,古酒になると分子運動の自由度が増加し,水素の交換速度が速くなるという17O-NMRによる結果を裏づけるものである.Laser Ramanスペクトルを測定した結果でも,新酒と古酒のOHの伸縮振動にわずかな差が認められ,新酒と古酒では水素結合の状態が異なる部分があることが示唆された.