著者
吉永 英司 玉沢 修 鴨井 久一
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.684-695, 1984-12-28 (Released:2010-07-16)
参考文献数
19

歯肉炎と診断された患者16名に対し, 初診時とブラッシング指導後14日目において歯肉溝滲出液を採取し, 一部被験者については採血も行ない, 免疫複合体と IgG 量を定量した。併せて臨床所見の評価を行なった結果, つぎの結論を得た。1. 歯肉溝滲出液中免疫複合体量は血清中量に比較して高濃度に含まれ, ブラッシング指導後では増加傾向にあった。2. 歯肉溝滲出液中IgG量は免疫複合体と比較して血清中量との差が少なく, ブラッシング指導後では減少傾向にあった。3. 臨床所見との相関性は, 歯肉溝滲出液中免疫複合体量とGIとの間にのみ認められた (p<0.1)。4. ブラッシング指導後においては, 歯肉溝滲出液中免疫複合体量とIgG量との間に相関性が認められた (p<0.01)。
著者
網元 愛子 岡本 浩 玉沢 修 斉藤 邦男 二上 捷之
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.185-194, 1978
被引用文献数
3 1

臨地試験でのDextranaseの有効単位数に関する基礎的検討を行い, 更に, Chaetomium gracile由来のDextranaseを2000単位/g配合した歯磨剤を用いて, Dextranaseの臨地的な歯垢除去効果の確認を行った。<BR>In vitroの実験において, 500単位のDextranaseを歯垢に作用させた場合, 明らかな還元糖の溶出が認められた。その溶出は, 約2000単位まで直線的に増加した。<BR>一方, 2000単位のDextranase溶液を1分間含嗽したときに, 統計的にも有意な量の還元糖が口腔から溶出された。しかし, 500単位のDextranaseでは, 統計的に有意な還元糖の溶出は認められなかった。以上の結果から, 臨地的なDextranaseの有効単位数は, 500から2000単位の間に存在することが示唆された。<BR>更に, 20~50歳の被検者15名で構成した2群を対象にし, Dextranase (2000単位/g) およびplacebo歯磨剤を2週間使用した場合の歯垢除去効果について検討を行った。<BR>Dextranase歯磨剤群では, 1および2週間後に各々61.6および74.7%のplaque indexが減少した。しかし, placebo歯磨剤群では, その減少率は少なく, 各々38.5および41.5%であった。両群間には, 統計的に有意差 (p<0.01) が認められ, 明らかなDextranase (2000単位/g) 歯磨剤の歯垢除去効果が確認された。<BR>しかしながら, gingival indexの減少におよぼすDextranaseの効果は弱く, 統計的な有意差は認められなかった。