著者
瓜生 浩朗
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会誌 (ISSN:03864812)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.300-308, 1988-12-15

物質, エネルギーという従来の二大概念に対する基本的思考論理は, 真か偽かという形式論理であった.しかし, 情報化時代が到来した現在, 新しい概念である情報は人間の価値と密接な関係があるため, 形式論理は情報に対する論理とはなりえず, 情報の論理がまだない.そこで, 情報の論理として情報のもつ価値を媒体とする価値論理を構築した.価値論理は, 生命の連続性を実現化するという目的に対して, 価値思考の法則等を研究する論理であり, 次の内容および特徴をもっている.(1)価値あり1,あいまいな価値α, および価値なし0の価値定数を定義した.(2)否定, 論理和, 論理積および, とくに論理商を定義した.(3)演算記号により結合した論理式の価値は, 価値表により評価される.(4)論理商により価値情報が創造, 生産される.
著者
清水 次郎 瓜生 浩朗
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.45, pp.83-84, 1992-09-28

ファジィ論理は、形式論理における真(1)と偽(0)の中間に、人間の使う形容詞的な言葉の一部を数値化して挿入することにより、形式論理に人間の個人的主観性をとり入れた論理である。しかし、この論理は、矛盾概念(真、偽以外の中間値はない)の真、偽の中間に、反対概念の人間の主観を適当に数値化して挿入し、これらを一元化している。これは、矛盾概念の形式論理に帰着するものであり、異質の概念を一つの概念に統一する論理である。さらに、ファジィ論理の考え方は、万物は定量化、数値化できるというものであり、"いかにあるか"の文明・機械中心の思考にもとづいて真理を探求するものである。このことは、結果として、人間性無視につながっていき、現在、形式論理によってひきおこされている地球環境問題を、さらに促進させる恐れがある。そこで、これらを解決する基本論理として、価値論理を構築した。この価値論理は、人類および生命体ならびに生態系の永存、人間および生きとし生けるもののいのちの尊重の実現を目標とする。そして、価値あり(1)と価値なし(0)という反対概念の間に、あいまいな価値(a)が存在することにより、人間の普遍的主観性をとり入れた論理である。さらに、この価値論理の考え方は、人類永存の達成、人間尊重の実現のために、主体客体および環境は"いかにあるべきか"の文化・人類中心の思考にもとづいて、価値を探求するものである。本研究は、この価値論理における価値序列関数について考察し、また、価値論理の特徴であり他の論理に存在しない論理商および論理商駅伝の定理によって、上述の問題の基本的な解決の方向性を求めた。