著者
田邉 浩文 生田 宗博 三川 年正 近藤 昭彦
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.505-510, 2019-08-15 (Released:2019-08-15)
参考文献数
23

音楽家にみられるフォーカルジストニアは,演奏中に現れる不随意運動であり,音楽家としてのキャリアを終了させることもある.フォーカルジストニアの病態生理に関する先行研究から,フォーカルジストニアの症状出現は,筋緊張異常や軟部組織の短縮に起因する異常な感覚入力により,大脳皮質の抑制系の活動減少を来すことが主因と仮説を立てた.本報告では,1名のフォーカルジストニア患者に対して6ヵ月間,外来で定期的に異常な軟部組織に対する治療介入と,セルフメンテナンスの実践に関するモニタリングを面接で行った結果,フォーカルジストニアの症状が改善するとともに筋緊張異常が減弱し,演奏に大きな支障を来さないまでに回復する結果が得られた.