著者
伊藤 明和 柳田 則之 鈴木 康之 鈴木 浩二 坂堂 正生 田中 八郎 吉田 充治 三宅 弘 丹羽 英人 加藤 通郎
出版者
The Society of Practical Otolaryngology
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.72, no.11, pp.1539-1551_2, 1979

1. 臨床的に鼻アレルギーと診断された120症例中脱落26例を除いた94症例について, Gamma globulin を Placebo としてHGの二重盲検法による治験を行い, 著効5症例, 有効18症例, やや有効13症例, 無効11症例の成績を得た. やや有効を有効例に含めた有効率は76.6%, やや有効を無効例に含めた有効率は48.9%で, いずれの場合も Placebo 群の有効率を上回った.<br>2. 鼻症状の改善では, 鼻閉の改善においては有意差が認められなかったが, くしゃみ, 鼻汁の改善および総合鼻症状改善度では有意差が認められた.<br>3. 鼻粘膜所見の改善では, 分泌物の量については有意な改善が認められなかったが, 下甲介腫脹, 色調および総合鼻粘膜所見改善度については有意差が認められた.<br>4. 総合改善度については, 推計学的に明白な有意差が認められた.<br>5. 皮内反応, 誘発反応, 鼻汁中好酸球では両群間の成績に明らかな差はないが, ヒスタミン反応では, H群に有意な改善が認められる.<br>6. 副作用は全例に認められなかった.<br>7. これらの成績からして, 鼻アレルギーに対してHGは十分使用に値する薬剤であると考える.