著者
田代 充
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.296-299, 2013-06-20 (Released:2017-06-30)
参考文献数
3

核磁気共鳴(NMR)装置は,理工系から生物系に渡る広範な分野で使用されている分析機器のひとつである。画像診断など医学分野で使用されているNMRイメージング(MRI)は,大多数の読者が名前は聞いたことがあるだろう。MRIでは磁場の中に人間が入り,人体中の水分子の水素原子核を観測している。同様の原理で,構造未知の化合物の構造解析にNMRがよく用いられる。NMRは他の分析機器と比べると,価格が1桁高い高額な分析機器であるが,理工・薬学系の大学および製薬会社には,必ずと言っていいほどNMR装置が数台ある。理由は,それだけNMRが便利であり,研究に不可欠だからである。本講座では,NMRの観測対象である原子核について,NMRの観点からその特徴を説明する。
著者
川野 紀子 田代 充生 田口 雅史 木原 康之 芳川 一郎 宿輪 和孝 山崎 雅弘 久米 恵一郎 大槻 眞
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.105, no.11, pp.1627-1633, 2008 (Released:2008-11-05)
参考文献数
19

症例は73歳男性.排便時の肛門部痛を主訴に来院した.直腸Rb部に直径4cm大の一部黒色を呈する隆起性病変を認め,肝転移をともない,直腸肛門部悪性黒色腫(Stage IV)と診断された.dacarbazine,nimustine,cisplatin,tamoxifenによる多剤併用化学療法(DAC-Tam療法)に加えinterferon-βの局所投与を施行したところ,1コース終了時には疼痛の消失と原発巣の縮小,肝転移の消失を認めた.計6コース施行後に,直腸腫瘍からの出血コントロールに対する放射線治療を併用した.化学療法を合計8コース施行し,初回治療開始後24カ月経過した現在も生存中である.