著者
水谷 幸正 田宮 仁 藤本 浄彦 山口 信治 雲井 昭善 藤原 明子 藤腹 明子 久下 陞 中村 永司
出版者
佛教大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1988

1.本年度は研究最終年度に当たり、当初の研究計画に添い報告書作成に向けて月1回の例会を開催した。その間に、次のような成果を得た。まず前年度までに一応の成果が得られた「仏教によるタ-ミナル・ケア方法論の開拓」ということでは、その方法論を検証を兼ねて仏教の祖師方のタ-ミナル・ステ-ジに当てはめ、再吟味を行なった。2.また本研究のもう1つの目的であった、タ-ミナル・ケアにかかわる仏教者の養成ということでの仏教学(宗学)専攻学生を対象としたカリキュラムに、医療看護関係者の意見も聴取して吟味を加え、より実際的なものとすることができた。4.これらの方法論開拓やカリキュラム作成という、本研究の主たる目的を中心に、その典拠となるべき仏典や仏教思想を吟味確認し、また研究分担者のそれぞれの専門分野からの研究をまとめ報告書作成に臨んだ。5.なお、各研究分担者は本研究の成果を以下の各種学会・セミナ-において報告等を行なった。(1)京都ビハ-ラの会研究会・於佛教大学四条センタ-・毎月2回第1,3金曜日、(2)佛教大学社会学研究所宗教研究会於佛教大学・11月14日、(3)第12回国際社会学会・於スペイン・マドリッド・7月9日、(4)第14回死の臨床研究所・於札幌市教育文化会館・10月13日、(5)‘90第2回日本生命倫理学会・於大阪日本生命講堂・11月3日、(6)日本仏教社会福祉学会第25回大会・於稲沢女子短大・11月11日。また中華民国で開催された国際仏教学術会議・12月23日〜29日、佛光山仏教青年学術会議・1991年1月1〜5日にも報告を行なった。
著者
水谷 幸正 藤堂 俊英 渡辺 千寿子 場知賀 礼文 藤本 浄彦 小西 輝夫 田宮 仁
出版者
佛教大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1993

医療技術の進歩と高齢化社会の到来によって、より問題化してきた終末看護に、仏教的叡智を体して対応しうる人材を養成することは、その原理的精神を継承する日本仏教の、またそれを教授指導する仏教系学府の今日的使命の一つであるといえる。そうした認識をふまえて本研究は三期七年にわたる「仏教とターミナル・ケアに関する研究」を先行する基礎的理論的研究とし、さらにその成果をもとに平成5年4月より本学専攻科内に本邦で最初の仏教看護コースを開設した。その就学者には看護僧をめざす僧尼ばかりでなく、第一線の看護、社会福祉、社会教育に携わる人々も含まれることになり、仏教精神を体した日本的ターミナルケアの本格的な稼働が如何に待望されているかを知らしめられることになった。今回の一期二年にわたる研究は当該コースにおける教授指導を通してターミナルケア従事者、特に仏教看護僧の養成に当っての教授法やカリキュラムについて多角的、また統合的な検討を加えて行った。その成果は順次、仏教看護コースの教授の中に活かされ、その充実に資するところとなった。仏教看護コースの修学年限は一ヶ年(二年まで可)であるが、欧米では定着している大学院レヴェルでの教育システムの中で専門家を養成して行くことで、日本におけるターミナルケア従事者の裾野を充実したものに広げて行くことが次の課題となった。またそうした構想の実現を通して、日本社会におけるターミナルケア従事者、仏教看護者の受け入れ体制も徐々に整って行くことであろう。尚、先行する「仏教とターミナルケアに関する研究」の三冊の報告書が新たな編集のもとに法蔵館(京都)より出版されることとなった。この公刊により日本におけるターミナルケアに対する理解が一層深まることを期待したい。
著者
藤腹 明子 得丸 定子 清水 茂雄 田宮 仁
出版者
飯田女子短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

本研究の目的としては、まず日本的「いのち」教育の必要性と意義、さらにはその教育の在り方について、仏教を基調として論拠をもって明確にすることであった。そのために、日本における「いのち」教育の歴史的な系譜の整理と確認、あるいは欧米のみならずアジア各国の義務教育レベルでの実情を把握し、その上で、幼児、義務、専門、生涯等の各教育段階に即したカリキュラム、テキスト、教材等を、指導時期・場所(媒体)・方法論と併せて作成することを当初の目的とした。研究分担者の田宮や得丸らが粗織した「新潟大・上越教育大 いのちの教育を考える会」で、13年度に「いのち教育実践のための研修講座」を上越教育大で開催し、学校教育現場における「いのち教育」の実態や問題点、教員の抱えているニーズを把握することができた。また、医学や看護学教育に携わる教員、仏教者、ビハーラ僧、患者や一般の方から「いのち教育」に対する期待やニーズ等を知り得たことは、今後の研究に向けての課題や示唆となった。3年間の研究を振り返ってみると、当初の目的をすべて果たすまでには至らなかった。しかし、当初の目的であった、本研究の成果を形にするということでは、上記の公開講座の企画・実施、さらには学校教育における小学生高学年向けの「いのち教育」の教材作成等について、それなりの成果を得たのではないかと考えている。今後は、本研究を通して知り得た「いのち教育」に関する知識・情報・技術・教育方法等を、研究分担者それぞれが、看護教育、学校教育の場において活用していくとともに、今後は、家庭や社会における「いのち教育」のあり方や必要性の検討についても取り組んでいきたいと考えている。