著者
田嶋 和夫 今井 洋子 田草川 博 堀内 照夫 金子 憲司
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, pp.740-750, 2000-10-30 (Released:2017-12-08)
参考文献数
15
被引用文献数
2

フッ化物イオンを含有する泡状製剤のハイドロキシアパタイト(HAP)に対する物理化学的研究から溶液状と泡沫状でフッ化物イオンの吸着に関して,次のことを明らかにすることができた。(1)発泡剤の界面活性剤(SDS)とう蝕予防剤(NaF)は泡沫状態で錯体やイオン対形成などの直接的相互作用をしない。(2)SDSは水分散状態におけるHAP表面にほとんど吸着しない。(3)HAP表面に対するフッ化物イオン(F-)のイオン交換吸着速度は溶液状態より泡沫状態のほうが約10倍速い。(4)人臼歯の切片を用いて,溶液状と泡状でのう蝕予防剤処置後,脱灰処理の結果,泡状のほうが予防効果が大きいことが実験的に証明された。(5)ヘテロ界面電気二重層の理論に従い,イオン交換吸着速度は泡沫状態のほうが速くなる機構を説明することができた。以上より,泡状剤型はフッ素を効率的に歯牙表面に供給できる優れた剤型であることが示唆された。
著者
田嶋 和夫
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.83-92, 2001-01-01 (Released:2013-04-25)
参考文献数
20
著者
田嶋 和夫
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.57, no.8, pp.390-391, 2009-08-20 (Released:2017-06-30)
参考文献数
7

セッケンの分子は水に親和性のある親水性の部位と油に親和性のある親油性の部位を一つの分子内に持つ両親媒性の構造をした分子で,界面活性剤という。界面活性剤を水に溶かすと,ある濃度以上で分子は60個から80個が集合した「ミセル」を作って溶ける。ミセルの溶液は透明なコロイド溶液である。ミセルはどうしてできるのであろうか。その形成メカニズムを考え,そして,ミセルの性質と働きについても考えてみよう。