著者
田村 光太郎 角田 充弘 外園 康智
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.1O4GS402, 2020 (Released:2020-06-19)

ナレッジグラフ推論チャレンジは、解釈性の良いAI技術を開発するために、推理小説を題材とした、推論を行うAIのコンテストである。我々は、小説文を知識表現するために述語論理式に直し、その述語論理式を仮説推論と充足可能問題により、犯行状況を表す解を導いた。具体的に、まず、人物とその行為から網羅的に生成した文と、小説文をBERTモデルにより比較し、知識処理すべき文を抽出する方法を提唱した。この生成文は述語論理式に直すことが可能である。次に、この小説内の事実を表す述語論理式と一般知識から、仮説推論を行い、犯行状況の仮説を導いた。さらに、人物の発言の真偽を考慮した充足可能問題の解として、犯行状況の可能性を列挙した。発言の真偽や情報不足による解の分岐が起きるが、その分岐条件を特定することで、解を一意にするために必要となる、小説内で言及されていない事実を導いた。
著者
川村 隆浩 江上 周作 田村 光太郎 外園 康智 鵜飼 孝典 小柳 佑介 西野 文人 岡嶋 成司 村上 勝彦 高松 邦彦 杉浦 あおい 白松 俊 張 翔宇 古崎 晃司
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

本発表では,2018年よりスタートしたナレッジグラフ推論チャレンジについて報告する.近年,機械学習技術の進展によりさまざまな社会システムにAI技術が組み込まれつつある.今後,そうしたシステムを安心・安全に使っていくためにはAIによる判断・動作を適切に説明する技術が重要になってくるだろう.そこで,本会セマンティックWebとオントロジー研究会では,データセットとしてシャーロック・ホームズの小説を題材としたナレッジグラフを構築,公開し,説明付きで犯人を当てる(推論または推定する)技術を募集するチャレンジを企画・開催した.発表では,第1回となった2018年のチャレンジの概要と共に,ナレッジグラフの構築手法,SATや推論,文書ベクトルなどを用いた4つのアプローチ,およびそれらの評価方法・結果等について述べる.また最後に,2019年に予定している次回チャレンジの計画について紹介してまとめとする.