著者
江上 周作 渡邊 勝太郎
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.261-270, 2017-07-01 (Released:2017-07-01)
参考文献数
6

現在,オープンデータの取り組みは世界的に広がりをみせており,実際の利用例の開拓を目的としたコンテストは注目を浴びている活動の一つである。日本国内で最初期から活動を継続しているコンテスト「Linked Open DataチャレンジJapan」は,Linked Dataに力点を置いているだけでなく,協賛者のデータを使った応募作品を作るハッカソン等イベントを共催で開催できる特典をスポンサーに用意するなど特色ある制度が存在する。本稿では,コンテストの運営者の視点に加えて,スポンサー・データ提供で協賛したデータ提供者の両方の視点から,コンテスト形式でのオープンデータ普及活動の実例を紹介する。LODチャレンジのこれまでの歩みと2016年の開催報告,JST(科学技術振興機構)との共催のイベント開催の様子とコンテストにデータを提供することのメリット,そして今後の展望と課題について述べる。
著者
川村 隆浩 江上 周作 田村 光太郎 外園 康智 鵜飼 孝典 小柳 佑介 西野 文人 岡嶋 成司 村上 勝彦 高松 邦彦 杉浦 あおい 白松 俊 張 翔宇 古崎 晃司
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

本発表では,2018年よりスタートしたナレッジグラフ推論チャレンジについて報告する.近年,機械学習技術の進展によりさまざまな社会システムにAI技術が組み込まれつつある.今後,そうしたシステムを安心・安全に使っていくためにはAIによる判断・動作を適切に説明する技術が重要になってくるだろう.そこで,本会セマンティックWebとオントロジー研究会では,データセットとしてシャーロック・ホームズの小説を題材としたナレッジグラフを構築,公開し,説明付きで犯人を当てる(推論または推定する)技術を募集するチャレンジを企画・開催した.発表では,第1回となった2018年のチャレンジの概要と共に,ナレッジグラフの構築手法,SATや推論,文書ベクトルなどを用いた4つのアプローチ,およびそれらの評価方法・結果等について述べる.また最後に,2019年に予定している次回チャレンジの計画について紹介してまとめとする.
著者
川村 隆浩 江上 周作 長野 伸一 大向 一輝 森田 武史 山本 泰智 古崎 晃司
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

本論では,2018年に国内で初開催するナレッジグラフを対象とした推論チャレンジについて述べる.近年,深層学習をきっかけに人工知能(AI)技術への関心が高まっている.今後,AI技術は幅広く普及し,さまざまな社会システムに埋め込まれるようになるだろう.しかし,安全・安心に社会の中でAIを活用していくためには,AIによるシステムの動作を正しく解釈,検証し,品質を保証する技術が必要となる.そこで,本会セマンティクWebとオントロジー(SWO)研究会では,解釈可能性なAIに関する最先端技術の共有と研究開発の促進を図るため,推論に関するチャレンジを開催する.具体的には,広く知られたシャーロックの推理小説をナレッジグラフ化し,そこから犯人を推理(推論)する技術を広く一般から募集する.本チャレンジは2018年度人工知能学会全国大会開催当日より約半年間の日程でスタートする.是非,チャレンジへの参加をご検討されたい.
著者
古崎 晃司 江上 周作 松下 京群 鵜飼 孝典 川村 隆浩
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第36回 (2022) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.2E6GS302, 2022 (Released:2022-07-11)

「ナレッジグラフ推論チャレンジ」は説明可能性を有したAI技術の体系化と普及促進を目的とした技術コンテストである.このチャレンジでは,知識グラフとして表現された推理小説を用いた「1.犯人の推定」と「2.推定理由の説明」をタスクとしている.提供する知識グラフは,説明生成に用いられることを念頭に,対象とする小説の追加や知識グラフとして記述する内容の検討等の改良を重ねてきた. 本研究では,これまでの考察をもとに,説明生成に利用することを想定した知識グラフ構築におけるガイドラインを提案する.推論チャレンジで公開している8つの短編推理小説を対象とした知識グラフを元に記述内容の修正方針を検討し,10項目からなる知識グラフ構築のガイドライン案を作成した.さらに作成したガイドラインをそれら8つの知識グラフに適用し,その妥当性の検討を進めている.本発表ではガイドラインの概要と知識グラフに適用して得られた知見を報告する.
著者
江上 周作 鵜飼 孝典 太田 雅輝 川村 隆浩 松下 京群 古崎 晃司 福田 賢一郎
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.SWO-057, pp.05, 2022-08-05 (Released:2022-08-10)

ナレッジグラフのトリプルに出典,文脈,時間等の様々なメタデータを付与するメタデータ表現モデル(MRM)が複数提案されている.本研究では同一のナレッジグラフに対して異なるMRMを適用したデータセットを作成し,ナレッジグラフ埋め込み手法によるリンク予測の精度評価を行うことで,各MRMの特性を埋め込みの観点から分析する.
著者
澤村 勇輝 谷津 元樹 森田 武史 江上 周作 鵜飼 孝典 福田 賢一郎
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2023, no.SWO-059, pp.02, 2023-03-17 (Released:2023-03-23)

自然言語文中のエンティティ名をWikidataなどの大規模知識グラフのリソースと対応づけるタスクであるエンティティリンキング(EL)は,質問応答などの基盤技術として注目されている.最先端のEL研究は英語を対象としており,日本語を対象としたEL研究は少ない.ELモデル構築には言語モデルや知識グラフ埋め込みを利用しており,日本語ELモデルを構築するには言語モデルや知識グラフ埋め込みの日本語対応が必要となる.本研究では,英語ELモデルを日本語対応するための課題の分析を行う.Wikidataを対象とした英語ELモデルPNEL(Pointer Network based Entity Linker)構築において言語依存の埋め込みを変更することにより,日本語ELモデルを構築した.英語データセットであるwebQSP,SimpleQuestions,LC-QuAD2を翻訳し,日本語と英語ELモデルの比較評価から,モデル構築における課題を埋め込み手法の観点から分析した.

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著者
川村 隆浩 渡邊 勝太郎 松本 尚也 江上 周作 治部 眞里
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第14回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.119-124, 2017 (Released:2017-11-01)
参考文献数
8

近年,科学技術の関係性や発展を把握するため,さまざまなサイエンスマップが作られている.しかし,ファンディング情報や最新の論文は,十分な引用情報を持たないため,従来の引用分析を用いてマップ化することが難しい.そこで,我々は研究内容の類似度に基づいてマップを作成するため,ニューラルネットワーク技術を用いてプロジェクト概要や論文抄録などのテキスト情報を多次元ベクトルに変換する手法を開発した.文書ベクトル化することによって内容の類似性を定量的に測定することを始め,クラスタリングなどの統計処理や機械学習にかけることが可能になる.本論では,実際に 2012~2016 年の米国 NSF における約 3 万のプロジェクト情報,および同期間の Scopus 収録 IEEE 論文誌・国際会議論文約 27 万編の抄録を文書ベクトル化し,マップとして表した結果を示す.また,マップ上において,いくつかの萌芽領域が形成されていく様子(時系列的な構造変化)が確認できたことを示す.
著者
森 俊人 谷津 元樹 森田 武史 江上 周作 鵜飼 孝典 福田 賢一郎
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2023, no.SWO-059, pp.08, 2023-03-17 (Released:2023-03-23)

DBpediaやWikidataなどの大規模知識グラフは集合知により構築されるため,人手で構築するのには限界があり,不完全な知識グラフが構築されることがある.この問題を解決するために,知識グラフ中の欠損したエンティティや関係を補完する知識グラフ補完に関する研究が行われている.最近は,知識グラフの埋め込みに基づく知識グラフ補完の研究が注目されている.知識グラフの埋め込みに基づく手法の多くは,学習時に利用する知識グラフ(既存の知識グラフ)に含まれるエンティティの表現ベクトルを用いて関係予測などを行う.既存の知識グラフに含まれないエンティティ(未知エンティティ)は表現ベクトルを計算することができないため,未知エンティティに関する知識グラフ補完を行うことは困難である.最新の話題に対応した知識グラフに基づく質問応答や対話システムを構築するためには,未知エンティティを対象とした知識グラフの構築や補完が必要だと考えられる.本研究は,Wikipediaの赤リンクをDBpediaにおける未知エンティティとみなし,DBpediaを拡張することを目的とする.赤リンクとはWikipediaにまだ存在しない記事(記事名)への,初期設定では赤色で表示されるリンクであり,DBpedia上には赤リンクに対応するエンティティは基本的には存在しない.赤リンクはその性質上,記事が作られるべきであると判断されて作られているため,今後,赤リンクに対応する記事が作成され,DBpediaにおける新たなエンティティとして追加される可能性が高い.本稿では,Wikipediaの記事から赤リンクを抽出して未知エンティティとみなし,DBpediaにおける既存エンティティとの関係構築を行う方法について検討する.
著者
江上 周作 福田 賢一郎
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2023, no.SWO-060, pp.04, 2023-08-24 (Released:2023-08-28)

現在の大規模言語モデル(LLM)には学習データに存在しない知識について誤った情報を作り出して提示する問題があり,幻覚(Hallucination)として知られている.一方,Web上にはすでに様々なファクトデータが知識グラフとして存在しており,この知識グラフをLLMと接続することでHallucinationをある程度抑制できると考えられる.本研究では,テキストから知識グラフに対するクエリ言語SPARQLを生成する手法についてのこれまでの背景を整理する.また,LLMを用いてテキストからSPARQLクエリを生成する予備的実験を行い,今後の可能性を議論する。
著者
江上 周作 川村 隆浩 古崎 晃司 大須賀 昭彦
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2018, no.SWO-044, pp.08, 2018-03-18 (Released:2021-09-17)

Urban areas have many problems such as homelessness, illegally parked bicycles, and littering. These problems are influenced by various factors and are linked to each other; thus, an understanding of the problem structure is required in order to detect and solve the root problems that generate vicious cycles. Therefore, we propose constructing an urban problem linked open data (LOD) system that would include urban problems' causality. In addition, we propose a method for detecting vicious cycles of urban problems using inferences from the LOD. We first designed a Linked Data schema that represents urban problems' causality. Next, we instantiated actual causes and effects using crowdsourcing, supported with techniques based on natural language processing. In addition, we complemented the constructed LOD by drawing inferences using Semantic Web Rule Language (SWRL) rules. Finally, using SPARQL queries, we detected several root problems that led to vicious cycles, then urban-problem experts evaluated the extracted causal relations.
著者
鵜飼 孝典 江上 周作 福田 賢一郎
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.SWO-057, pp.06, 2022-08-05 (Released:2022-08-10)

知識グラフ推論チャレンジにおいて、知識グラフ埋め込みを用いたリンク予測による犯人の推定を行う研究がいくつか行われている。それらの多くは、提供された知識グラフを主語、述語、目的語の三要素(基本パターン)に変換して用いている。本研究では、提供された知識グラフをそのままの形で用いて予測する場合(イベント中心モデル)と、基本パターンに変換して用いる場合を比較し、予測モデルの違いについて考察する。
著者
奥原 史佳 江上 周作 清 雄一 田原 康之 大須賀 昭彦
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.SWO-057, pp.07, 2022-08-05 (Released:2022-08-10)

近年, 教科全体や科目内全体で俯瞰的な学習が求められており, また, 多肢選択式問題が大量かつ広範囲の出題に向いていることから, 俯瞰的な多肢選択式問題が有用であると考えられる. "俯瞰的な問題" とは,幅広い関連情報を含み全体像をとらえさせるような内容である. 俯瞰的な問題を人手で生成・収集することはコストがかかるため, Linked Data を使って出題時に幅広い情報を提示することで俯瞰的な視点で問題を捉えさせるような多肢選択式問題の自動生成手法を提案した. 一方, 特定分野をターゲットとした出題においては, 該当分野における関連情報の幅広さを考慮できていない. また, 生成問題には解答に直接関係のない情報が含まれており, 回答時の俯瞰的な視点の必要性を考慮できていない. 本研究では, 特に歴史分野における生成問題の俯瞰度と, 回答時の俯瞰的な視点が必要な問題生成について考察する.
著者
勝島 修平 穴田 一 江上 周作 福田 賢一郎
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.SWO-056, pp.17, 2022-03-11 (Released:2022-03-24)

In recent years, there is an interpretability problem that even experts cannot explain the reasoning process of machine learning. A contest featuring interpretability, "First Knowledge Graph Reasoning Challenge 2018." was held in Tokyo. A previous study presented a method based on embedding with triple for learning the sense of words. However, information about object simultaneity, such as location and time, which should be learned at the same time, is lost. Therefore, we propose an inference method that learns the graph structure by means of a graph convolutional network (GCN) and explains important connections on the graph by means of layered relevance propagation (LRP). The experimental results show that the proposed approach indicates the reasoning process using additional knowledge and the propagation of relevance by LRP.
著者
江上 周作 山本 泰智 大向 一輝 奥村 貴史
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.SWO-056, pp.16, 2022-03-11 (Released:2022-03-24)

COVID-19の感染拡大防止に向けて,日本国政府では「3つの密」(以下,三密)や,「5つの場面」を提言してきた.これらの提言に基づき,各人の感染リスクを自動で評価できれば,追跡調査対象者の順序付けやスクリーニングといった保健所で行われている業務を大幅に効率化できる.本論文では,場所や行動に紐づくCOVID-19感染リスクを整理し,個別の行動事例における感染リスクを推論可能なオントロジー(CIRO)を開発した.また,CIROに基づいたナレッジグラフから,追跡調査に有用な三密リスクの推論とグラフ検索が可能であることを示した.さらに,追跡調査業務の現場における実用化に向けて,データサイズと条件を変更しながら推論実験を行い,CIROの十分性や拡張性,実現可能性を考察した.
著者
江上 周作 大向 一輝 山本 泰智 神崎 正英 野本 昌子 坂根 昌一 伊藤 真和吏 網 淳子 奥村 貴史
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第35回全国大会(2021)
巻号頁・発行日
pp.3H1GS3d02, 2021 (Released:2021-06-14)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大防止に向けて,政府より「3つの密(三密)」「5つの場面」が提言されている.これらの標語・指標に基づいて,個別の行動事例のリスクを評価するためには,行動履歴情報,空間情報,およびそれらの知識の定義が必要となる.本研究では,感染症患者に対する聞き取り調査で得られる行動履歴情報を用いて,その行動における三密の度合いを推論可能なオントロジーを提案する.推論結果は,公衆衛生当局における追跡調査業務の省力化や,実データとの照合による,感染に結びつく行動の分析などに応用できると考えられる.本稿では,提案オントロジーの実運用に向けたシナリオの検討と課題を述べる.
著者
江上 周作 呂 暁東 古賀 禎 住谷 泰人
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.WI2-F_1-12, 2021-01-01 (Released:2021-01-01)
参考文献数
28

With the advancement of information and communication technologies, to improve the interoperability between heterogeneous information systems by regularizing the syntax for information exchange is essential to achieve global seamless air traffic management operation. However, the current point-to-point aviation related information exchange among different systems and operators cannot satisfy the requirement for interoperability. The concept of System Wide Information Management (SWIM) has been promoted by the International Civil Aviation Organization (ICAO) to implement interoperability and harmonization in a global operation. In the SWIM environment, all the related stakeholders need to efficiently obtain the necessary ATM data with situational awareness from various information domains. However, this is difficult to realize in the current system, as different data are structured based on different data models. In this study, we construct domain ontologies based on flight, aeronautical, and weather information exchange models. Moreover, for semantic interoperability in the SWIM environment, we develop an upper ontology-based reference ontology that enables common situational awareness of spatiotemporal concepts. Furthermore, we propose a methodology for mapping heterogeneous domain ontologies to the reference ontology with the manual refinement. Finally, we apply the proposed ontologies to a SWIM test system. The applicability and scalability of the proposed ontologies are demonstrated through a case study in the SWIM environment.