著者
小河原 洋平 田浦 扶充子 島谷 幸宏
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.I_355-I_360, 2018 (Released:2019-12-05)
参考文献数
13
被引用文献数
2 3

善福寺川上流域において,一つの合流式下水道の雨天時越流水(CSO)越流口の集水域を対象とし,グリーンインフラ(GI)を導入した場合のマンホール溢水量及びCSOの抑制効果を検証した.溢水量は2つの年超過確立1/100および極端豪雨として2017年7月に発生した九州北部豪雨の降雨波形を用い,CSOについては観測降雨による年間の降雨波形を用いた.GIは,戸建住宅では50%の樋と桝との連結を切り,前庭は雨水を浸透させる雨庭(浸透型植栽空間)にする.また,道路や学校,公園等でも透水性の舗装や緑地等による流出抑制を行う等の計画を行った.全対策を導入することで,(1)溢水量はどの降雨波形においても90%以上の抑制がみられ,(2)年間のCSO発生回数・発生量を大幅に削減できた.都市の洪水及びCSO対策として,GIの導入は非常に有効であることが明らかとなった.
著者
田浦 扶充子 島谷 幸宏 小笠原 洋平 山下 三平 福永 真弓 渡辺 亮一 皆川 朋子 森山 聡之 吉冨 友恭 伊豫岡 宏樹 浜田 晃規 竹林 知樹
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.75, no.5, pp.I_153-I_168, 2019 (Released:2019-12-26)
参考文献数
26
被引用文献数
1 2

本研究は,都市の流域すべての場所で雨水の貯留・浸透を,良質な緑を増やしながら多世代が協力し,分散型水管理が実現される持続的な都市ビジョン「あまみず社会」を提案し,その有効性や実現可能性を検証するものである.そのため,都市の空間構成要素である個人住宅と中学校を取り上げ,安価で魅力的な貯留浸透の方法を考案,計画し,実装を試みた.「あまみず社会」の概念に基づいた魅力的な実装や要素技術は,治水・利水機能に加え,環境面,防災面,活動の広がりなど多面的な価値があることが明らかとなった.加えて,「あまみず社会」の実社会への普及に向け,多面的で重層的な働きかけを網羅的に試みることが有効であり,想定以上の広がりが得られることが確認された.