著者
小澤 友香 青木 俊夫 加藤 謙之 今泉 隆次郎 島村 昌幸 佐藤 修正 田畑 哲之 由田 和津子 作田 正明 綾部 真一
出版者
日本植物生理学会
雑誌
日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.235, 2010

縮合型タンニン(CT)はアントシアニン生合成の中間体であるフラバン-3,4-ジオールとその誘導体フラバン-3-オール(カテキン類)の重合体で、抗菌作用や昆虫に対する防御作用、食品成分として健康増進に役立つなど、様々な生理活性が注目されている。発表者らはCT生合成調節機構の解明を目的として、アントシアニンとCTがともに欠失しているマメ科モデル植物ミヤコグサ(<I>Lotus japonicus</I>)の<I>viridicaulis1</I>(<I>vic1</I>)および<I>vic2</I>変異体を解析している。昨年の本大会では<I>VIC1</I>がbHLH型転写因子をコードすることを発表した。今回、<I>vic2</I>遺伝子のポジショナルクローニングを行い候補遺伝子の塩基配列を調べたところ、WD40リピートタンパク質をコードするシロイヌナズナの<I>TTG1</I>オルソログの354番目の塩基にナンセンス変異が見つかり、翻訳産物のWD40リピートドメインが欠失していることが推定された。野生型遺伝子を用いて<I>vic2</I>の相補実験を行ったところ、アントシアニンとCTの蓄積が確認された。リアルタイムPCRによる発現解析の結果、<I>vic1</I>および<I>vic2</I>変異体ではジヒドロフラボノール4-還元酵素とアントシアニジン合成酵素をコードする遺伝子の転写物レベルが大きく低下し、相補株では回復しており、VIC1とVIC2がこれら酵素遺伝子の調節因子であることがわかった。
著者
名川 信吾 澤 進一郎 岩本 訓知 加藤 友彦 佐藤 修正 田畑 哲之 福田 裕穂
出版者
日本植物生理学会
雑誌
日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集 第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.291, 2006 (Released:2006-12-27)

幹細胞の分化・維持に働く分子機構について明らかにするために、茎頂分裂組織 ( SAM ) 及び維管束幹細胞である前形成層をモデル系とし、SAM 及び前形成層関連遺伝子を複数同定してきた。今回はそれらの遺伝子のうち、葉酸代謝に関わる GGH 遺伝子の機能解析について報告する。GGH タンパク質は葉酸のグルタミン酸鎖切断能を持つことが明らかとなっている。GGH 遺伝子の過剰発現時には子葉の融合、ロゼット葉形成の遅延、茎頂分裂領域の縮小といったメリステム活性の低下を示唆する異常な表現型が観察された。一方、シロイヌナズナゲノム中に三つ存在する GGH 遺伝子全ての発現抑制植物体では、葉身における異所的な分裂組織形成、花器官数の増加、小花柄における苞葉の形成というメリステム活性の上昇を示唆する典型的な表現型が観察された。また、葉酸生合成阻害剤添加により根の伸長阻害や茎頂分裂領域の縮小が導かれ、その効果は多グルタミン酸鎖型葉酸の添加により回復した。一方、単グルタミン酸鎖型葉酸添加によっては回復することが出来なかった。さらに、培養細胞の管状要素への分化誘導時において、多グルタミン酸鎖型葉酸は阻害的に働くのに対し、単グルタミン酸鎖型葉酸は阻害効果を持たなかった。これらの結果は、多グルタミン酸鎖型葉酸が幹細胞の未分化状態の維持に必須であることを示唆しており、これをもとに分化段階に応じた GGH の役割について考察する。
著者
吉本 光希 花岡 秀樹 野田 健司 佐藤 修正 加藤 友彦 田畑 哲之 大隅 良典
出版者
日本植物生理学会
雑誌
日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.712, 2003

オートファジー(自食作用)とは、栄養飢餓等に伴い細胞質成分が液胞に輸送される分解システムである。我々は酵母において、Apg8タンパク質のC末端がApg4プロテアーゼにより切断された後、ユビキチン化に類似した反応により脂質修飾されること、そして、このApg8脂質修飾反応がオートファジー進行を担う分子機構の鍵になることを見いだしている。<br> シロイヌナズナにはAPG8, APG4オーソログ(AtAPG8, AtAPG4)が存在し、その詳細が明らかになっていない植物のオートファジーにおいても同様の役割を担っていることが予想される。全9種のAtAPG8および全2種のAtAPG4はシロイヌナズナのほとんどの器官で発現しており、窒素飢餓条件下で発現がさらに誘導された。また、酵母ではオートファジーの進行に伴いApg8は液胞内に移行することが知られている。そこで、GFP-AtAPG8融合タンパク質を発現させた形質転換植物を作製し、様々な組織での蛍光顕微鏡観察を行なった。GFP融合タンパク質は細胞質中のドット状構造や液胞内への局在が観察された。現在、栄養条件下から窒素飢餓条件下に移したときのGFP融合タンパク質の挙動の変化を観察している。また、2種のAtAPG4のT-DNA挿入株をそれぞれ取得し、その二重変異株におけるAtAPG8の挙動について解析中であり、その結果についても合わせて報告する。
著者
田畑 哲之 磯部 祥子 青木 考
出版者
(財)かずさDNA研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

高オレイン酸含有量の落花生育種を促進するため、オレイン酸含有量を制御する候補遺伝子情報を用いて選抜マーカーを開発し、マーカー選抜育種を開始した。同時に落花生のゲノムワイドな多型DNAマーカー(マイクロサテライトおよびトランスポゾン挿入マーカー)を開発し、連鎖地図の作成を行った。ゲノムワイドなDNAマーカーも選抜マーカーとして利用したところ、5年の選抜工程を3年に短縮することができた。