著者
福永 裕一 澤 進一郎 澤 完
出版者
日本植物分類学会
雑誌
分類 (ISSN:13466852)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.141-147, 2008-08-20 (Released:2017-03-25)
参考文献数
5

四国は四季を通じて雨量が多く,豊かな森に覆われており,その林床には有機質に富んだ腐食土や適度な湿度が必要である地生ランが多く自生しており,菌寄生性無葉緑の地生ランであるオニノヤガラ(Gastrodia)属も比較的数多く自生している.その中でもヤツシロラン類は,開花期間が短く,朔果は受粉後約30-40日後に裂開し種子を飛散し腐敗するため,地上部に出現している期間が短く,更には結実個体標本では同定困難なものが多いため,その分布状況の詳細については十分に把握されていなかった.そこで我々は,四国で現地調査並びに大学や博物館での標本調査を行い,ヤツシロラン類の分布調査を行ってきた結果,ヤツシロラン類の新産地の発見や,過去にハルザキヤツシロラン(G. nipponica (Honda)Tuyama)やアキザキヤツシロラン(G. confusa Honda et Tuyama)であると思われていたものの中にクロヤツシロラン(G. pubilabiata Sawa)が含まれる等の事実が判明した.そこで,今回の調査により得られた知見をもとに,現在までに明らかとなった四国におけるヤツシロラン類の分布調査結果を報告する.
著者
名川 信吾 澤 進一郎 岩本 訓知 加藤 友彦 佐藤 修正 田畑 哲之 福田 裕穂
出版者
日本植物生理学会
雑誌
日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集 第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.291, 2006 (Released:2006-12-27)

幹細胞の分化・維持に働く分子機構について明らかにするために、茎頂分裂組織 ( SAM ) 及び維管束幹細胞である前形成層をモデル系とし、SAM 及び前形成層関連遺伝子を複数同定してきた。今回はそれらの遺伝子のうち、葉酸代謝に関わる GGH 遺伝子の機能解析について報告する。GGH タンパク質は葉酸のグルタミン酸鎖切断能を持つことが明らかとなっている。GGH 遺伝子の過剰発現時には子葉の融合、ロゼット葉形成の遅延、茎頂分裂領域の縮小といったメリステム活性の低下を示唆する異常な表現型が観察された。一方、シロイヌナズナゲノム中に三つ存在する GGH 遺伝子全ての発現抑制植物体では、葉身における異所的な分裂組織形成、花器官数の増加、小花柄における苞葉の形成というメリステム活性の上昇を示唆する典型的な表現型が観察された。また、葉酸生合成阻害剤添加により根の伸長阻害や茎頂分裂領域の縮小が導かれ、その効果は多グルタミン酸鎖型葉酸の添加により回復した。一方、単グルタミン酸鎖型葉酸添加によっては回復することが出来なかった。さらに、培養細胞の管状要素への分化誘導時において、多グルタミン酸鎖型葉酸は阻害的に働くのに対し、単グルタミン酸鎖型葉酸は阻害効果を持たなかった。これらの結果は、多グルタミン酸鎖型葉酸が幹細胞の未分化状態の維持に必須であることを示唆しており、これをもとに分化段階に応じた GGH の役割について考察する。
著者
澤 進一郎
出版者
熊本大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、植物感染性センチュウを用いた分子遺伝学的研究手法の確立を行った。さらに、センチュウ感染過程における、植物細胞の脱分化、多核化、再分化過程における分子機構に焦点を当て、その分子機構にせまるべく、エフェクタータンパク質のプロテオーム解析、また、候補遺伝子を用いたY2Hスクリーニングを行った。