著者
佐伯 顕治 田端 利宏 谷口 秀夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.36, pp.23-30, 2007-04-05
参考文献数
5

OS の処理の中でも、プロセスを生成する fork と exec 処理の負荷は大きく、サービスの処理性能への影響は小さくない。そこで、我々は、分散指向永続オペレーティングシステム Tender において、OS の構成資源を再利用することによるプロセスの生成と消滅の高速化を実現している。Tender では、他 OS 用のプログラム実行のため、UNIX 系 OS である BSD/OS のインタフェースを実現している。本論文では、資源再利用機能を利用して、fork と exec システムコール処理を高速化する手法を述べ、再利用する資源の種類ごとに行った評価結果について報告する。また、Apache web サーバでの評価を行うことで、実 AP での資源再利用機能による fork と exec システムコール処理の高速化の効果を示す。また、他の OS と比べることで、資源再利用機能の有効性を示す。The cost of process creation is high in the processing of OS. The costs degrade the performance of program execution. To solve this problem, we have implemented fast process creation and disappearance by recycling process resource in Tender. Tender has BSD/OS interface for program execution of the BSD/OS. In this paper, we describe the method of speed-up of fork and exec system-call by recycling resource in Tender, and evaluate fork and exec system-call by recycling each resource. Moreover, we report the effect of recycling resource by using Apache web server.
著者
長野 文昭 鑪 講平 田端 利宏 櫻井 幸一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.33, pp.81-86, 2005-03-22
被引用文献数
2

今までにさまざまなバッファオーバフロー防御システムが提案されている.それらの方法の多くは,バッファオーバフロー発生の有無の検知を行っており,変数の完全性の検証を行わない.しかしバッファオーバフロー発生の有無の検知だけでは防ぎきれず,変数の完全性の検証が必要となる攻撃が存在する.そこで本論文では,変数の完全性を保証するシステムを提案する.既存のバッファオーバフロー防御システムでは,ユーザメモリ上から変数を読み取られると,防御システムを回避される危険があるものもあるが,本システムでは,そのような危険性はない.また,本方式はバッファオーバフローにより影響を受けた変数を,影響を受ける前に復元することもできる.Numerous security technologies which detect buffer overflow have already proposed. Almost these technologies detect if buffer overflows happen or not, but don't detect alteration of variable integrity. But there are attacks which are not be able to be defenced unless the technology detect alteration of variable integrity. So in this paper, we propose a system which detect alteration of variable integrity. Some exinting technologies could be bypassed if the attacker can see the user memory, but our proposed system can't be bypassed even if the attacker can see the user memory. And our proposed system can restore data which is altered by attackers using buffer overflow.
著者
谷口 秀夫 乃村 能成 田端 利宏 安達 俊光 野村裕佑 梅本 昌典 仁科 匡人
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.86, pp.71-78, 2006-07-31
被引用文献数
25

マイクロプロセッサや入出力ハードウェアの進歩には目覚しいものがある。さらに、通信路の伝送速度の向上も著しい。また、様々な場面で計算機が必要となり、提供するサービス種別も飛躍的に増大している.このような背景から、これらハードウェアの機能や性能を有効に利用でき、さらに多様なサービスの提供を支える基盤ソフトウェアが必要になっている。そこで、適応性と堅牢性をあわせ持つAnTオペレーティングシステム(An operating system with adaptability and toughness)を開発している。ここでは、AnTオペレーティングシステムの設計方針と特徴的な機能について説明する。There is a remarkable thing for progress of a microprocessor and input-output hardware. Furthermore, improvement of transmission speed of a channel is remarkable, too. hi addition, a computer is necessary in various scenes, and service classification to offer increases drastically. It is demanded that base software can use a function and performance of these hardware effectively. Therefore it was started development the AnT operating system (An operating system with adaptability and toughness) to have both adaptability and solidity. This article explains a design policy of the AnT operating system and a characteristic function.
著者
難波 弘樹 田端 利宏 谷口 秀夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.9, pp.87-94, 2008-01-31

運用や故障のためにプロセスの走行中で計算機が停止すると,計算機再起動後に当該プロセスを,はじめから走行させなくてはいけない.このため,実行途中までの処理は無駄になってしまう.この対策に,プロセス実行途中状態の保存と復元の機能があり,いくつか研究が行われている.ここでは,計算機の停止と再開の前後で,プロセス間通信を継続して行うことのできる機能について述べる.具体的には,Tender (The ENduring operating system for Distributed EnviRonment)オペレーティングシステムにおける実装と評価結果を報告する.System failure makes process restart from initial state. Function to store and restore process state are effective mechanism that prevents a process from restarting from the initial state when a system failure occurs. In this paper, we describe a function to store and restore processes state including InterProcess Communication(IPC). In addition, we report the implementation and evaluation results on Tender operating system.
著者
田端 利宏 谷口 秀夫
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J92-D, no.1, pp.12-24, 2009-01-01

本論文では,複数プロセスの実行における多重仮想記憶の問題点を解決するために実現したヘテロ仮想記憶について述べる.ヘテロ仮想記憶とは,多重仮想記憶を拡張し,一つの仮想記憶空間内に0個以上のプロセスが存在できる機能,プロセスが仮想記憶空間間を移動できる機能,及び任意の仮想記憶空間にプロセスを生成できる機能を実現したものである.また,ヘテロ仮想記憶を,多重仮想記憶機構をもつTender オペレーティングシステムに実現する手法について述べる.最後に,Tender 上で,HVSの有効事例を明らかにするために行ったOS機能の評価結果,及びApache Webサーバでヘテロ仮想記憶の機能を利用するための実装方式とその評価結果について述べる.評価の結果,ヘテロ仮想記憶の機能を活用することで,Webサーバの応答時間を1%~6%程度短縮できることを確認した.
著者
田端 利宏
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.56, no.10, pp.464-468, 2006-10-01
被引用文献数
12

電子メールの普及に伴って,SPAMメールと呼ばれる受信者の意図を無視して大量に送りつけられる電子メールが増加し,問題になっている。そこで,SPAMメールをうまく排除できる電子メールのフィルタリング技術が注目されている。特に,電子メールのフィルタリング技術の中でも,ベイジアンフィルタは,判定精度が良く,注目されている。ベイジアンフィルタは,ベイズ理論を応用したもので,受信者が過去に受信した電子メールの特徴を学習し,学習したデータに基づいて,新たに受信したメールがSPAMメールかどうかを判定する。本稿では,ベイジアンフィルタについて,学習と判定の仕組みを中心に解説する。