著者
乃村 能成
雑誌
研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:21888906)
巻号頁・発行日
vol.2017-DPS-172, no.17, pp.1-6, 2017-11-22

電子メールシステムは,歴史が長く枯れた技術であることから,相互運用性が高く,組織間の基本的な連絡手段として広く用いられている.電子メールで個人情報などの秘匿すべき情報を送信する際,暗号化された添付ファイルを送信し,共通鍵のパスワードを平文で別送することがよく行われている.本稿では,これをパスワード別送添付メールと呼び,パスワード別送添付メールの問題点を指摘する.また,問題点を受信側で解決する手法を提案する.提案手法は,暗号化されたメールに対応するパスワードメールとその中に含まれるパスワード文字列を効率よく発見し,パスワード解読を自動化する.さらに,提案手法を実装し,個人の電子メールシステムに組込み,運用した結果について評価する.評価では,多くのメールについて,数回のパスワード試行で解読が可能なことを示す.
著者
江見 圭祐 乃村 能成 谷口 秀夫
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.486-495, 2018-02-15

ソフトウェア開発において,ソーシャルコーディングと呼ばれる手法が広がりつつある.ソーシャルコーディングで進められるプロジェクトには,様々なユーザからソースコードの改善に関する提案が寄せられる.これら提案の採否の判断には,提案の内容だけでなく,提案を発案したユーザの評判も影響を与えている.本論文では,ユーザの評判によるバイアスを排除した提案の良し悪しの指標を述べ,提案にまつわるユーザの行動から,その指標を算出する手法を示した.次に,本手法が算出する指標を評価し,指標が有効に機能することを示した.最後に,評価結果を分析し,実際の提案の採否の判断にユーザの評判によるバイアスが存在する可能性を確認した.
著者
乃村 能成
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.3, pp.43-47, 2005-01-19

グループウェアの普及と共に,各人の行き先や現在位置を知らせ合う行き先表示板がよく利用されている.外部からの来訪者のために,これらの情報をオフィスなどの戸口に表示しておきたいことがある.しかしながら,グループウェア用のPC端末をそのまま戸口に設置することは,手間やコスト,外観などに問題がある.また,外部から訪れた不特定者に内部で共有している情報と同等な情報を見せることも安全上問題である.そこで本稿では,それらの問題を解決する戸口用行き先表示板を実装した.Groupware tools have enabled us to share information about location of each member. It would be useful for visitors to display this information on the door of our office. However, it is difficult to place a PC-style groupware terminal in front of the door for cost and appearance reason. Also, we will have a security issue if we open the bare groupware information to the visitors. In this paper, I propose a smart doorplate which solves these problems.
著者
山内 利宏 福島 有輝 乃村 能成 谷口 秀夫
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.60, no.12, pp.2279-2290, 2019-12-15

サービスを提供する応用プログラム(AP)の処理内容に合わせ効率的に実行するには,そのサービスに適した独自のオペレーティングシステム(OS)が有効である.しかし,独自OS機能をサービス提供に特化させるために,多数のドライバや高機能なOS機能を開発する工数は大きい.このため,既存OSのドライバ機能やファイル管理機能を利用できるようにし,利用に必要なOSの入出力操作の機能を実現する工数を最小化することが望まれる.そこで,本論文では,マルチコアプロセッサを利用して,独自OSと既存OSを独立に走行させ,既存OSの入出力操作の機能を独自OSが利用する手法の実現方式について述べる.具体的には,独自OSでありマイクロカーネル構造を持つAnTオペレーティングシステム(AnT)と既存OSのLinuxを共存して走行させ,AnT上のAPからLinuxの入出力操作の機能を利用する手法を述べる.また,提案手法の実現方式と処理構造を述べ,工数とLinux入出力操作の機能利用の性能を明らかにする.
著者
市川 優平 乃村 能成
雑誌
第78回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, no.1, pp.23-24, 2016-03-10

近年,ゲームのプレイ動画を配信するサービスが活発になっており,鑑賞の対象や情報共有の場として利用されている.しかし,動画はゲームの詳細な状態を記録していないので,共有できる情報が限定的である.そこで,ゲームの途中状態を動画とは別に記録することを考える.これにより,以下のユーザ体験が期待できる.(1)プレイ動画視聴中に,ゲームを途中状態から操作することで,有名なプレイヤのプレイを追体験できる.(2)ゲーム状況の配信が容易になる.そこで,我々は,あるユーザがプレイしているゲームの途中状態を複製・共有することで別のユーザが対象のゲームをその続きから操作できるシステムを提案する.本稿では,提案システムの設計について述べる.
著者
北川初音 乃村能成 谷口秀夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. [システムソフトウェアとオペレーティング・システム]
巻号頁・発行日
vol.2013, no.17, pp.1-8, 2013-07-24

計算機の性能の向上にともない,1 台の計算機上で複数の OS を動作させる方式が研究されている.これらの研究において,複数の種類の OS を動作させることで,それぞれの OS が持つ特性を同時に利用できる.しかし,OS 混載のために仮想計算機方式を用いた場合,OS 間で依存関係が発生する.そこで,1 台の計算機上で Linux ベースの OS を複数混載する方式を提案する.本提案方式では,Linux の機能に制限をかけることなく動作可能である.本稿では,Linux ベースの OS を混載する場合に,改変を加える必要がある部分を明らかにする.また,本提案方式を実現するために必要な改変量は小さいことを示す.最後に本提案方式の実例として,Linux と Android の混載と 32/64bit Linux の混載について述べる.
著者
吉井英人 乃村能成 谷口秀夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告電子化知的財産・社会基盤(EIP) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.4, pp.1-8, 2013-09-04

我々は,これまでに,整理されたカレンダ情報とは何かについて論じ,これを扱うモデルを提案した.整理されたカレンダ情報は,将来の計画立案や仕事の引継ぎに有用である.従来のシステムでは,インタフェースとして,紙のカレンダを模した形態をとっているため,これによるカレンダ情報の整理は難しい.本稿では,まず,情報整理の際のカレンダインタフェースの問題について述べる.次に,このカレンダインタフェースの問題に対処する方法として,Inbox による整理手法を提案する.Inbox による整理手法では,発生日時に依存しない方法で予定を一覧表示したり,整理されていない予定のみを表示したりすることで,カレンダ情報の整理を支援できることを示す.
著者
木村 有祐 乃村 能成
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.670-680, 2014-02-15

日々の仕事や生活の中で発生しているイベントは,本人が意識している以上に周期性が高い.オフィスにおける作業も発生の規則性を持っており,それに際して同様な内容のメールが周期的にやりとりされ,過去のメールは頻繁に再利用される.また,過去の仕事の想起や仕事の引継ぎの際にも,過去の仕事の情報を含んだメールを利用することがある.しかし,これらの作業では,利用するメールを探す手間がかかる.この手間は,過去のメールを再利用したという情報が送信者の記憶以外に存在しないために発生する.そこで,過去のメール利用の情報を再利用情報として保持し,先に示した手間を軽減するシステムを提案する.本稿では,メールの再利用における問題とその対処について述べる.次に,システムの設計について述べ,評価結果を報告する.
著者
中原 大貴 千崎 良太 牛尾 裕 片岡 哲也 乃村 能成 谷口 秀夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.278, pp.35-40, 2010-11-05
被引用文献数
1

我々は,マルチコアプロセッサにおいて,複数OS同時走行機能を有するMintオペレーティングシステムを開発している.Mintは,最初に走行するOSが後から走行するOSを起動し,走行するOSごとにカーネルイメージを必要とする.つまり,複数のカーネルイメージが必要である.そこで,本稿では,Kexecを利用して後から走行するOSを起動する手法について述べ,Mintの複数のカーネルイメージを単一化できることを示す.また,本起動方式についてコード改変量とOSの起動処理に要する時間を評価する.
著者
谷口 秀夫 乃村 能成 田端 利宏 安達 俊光 野村裕佑 梅本 昌典 仁科 匡人
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.86, pp.71-78, 2006-07-31
被引用文献数
25

マイクロプロセッサや入出力ハードウェアの進歩には目覚しいものがある。さらに、通信路の伝送速度の向上も著しい。また、様々な場面で計算機が必要となり、提供するサービス種別も飛躍的に増大している.このような背景から、これらハードウェアの機能や性能を有効に利用でき、さらに多様なサービスの提供を支える基盤ソフトウェアが必要になっている。そこで、適応性と堅牢性をあわせ持つAnTオペレーティングシステム(An operating system with adaptability and toughness)を開発している。ここでは、AnTオペレーティングシステムの設計方針と特徴的な機能について説明する。There is a remarkable thing for progress of a microprocessor and input-output hardware. Furthermore, improvement of transmission speed of a channel is remarkable, too. hi addition, a computer is necessary in various scenes, and service classification to offer increases drastically. It is demanded that base software can use a function and performance of these hardware effectively. Therefore it was started development the AnT operating system (An operating system with adaptability and toughness) to have both adaptability and solidity. This article explains a design policy of the AnT operating system and a characteristic function.
著者
桝本 圭 中島 雄作 伊藤健一 乃村 能成 谷口 秀夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.19, pp.23-30, 2003-02-27
被引用文献数
1

計算機を用いたサービスを実現する上で,一つのプロセッサの上に二つのOSを同時に走行させる技術の有用性が注目されている.しかし,既存の方式には,主となる一つのOSの停止が,計算機全体のシステムダウンとなる問題が残る.そこで我々は,これらの問題を解決する構成法を提案し,検討を進めている.ここでは,この構成法の課題の一つであるOS切替え方式について述べる.提案する方式は,割込みを契機にCPUの使用権を切替える方式であり,切替える直前のOSの状態に依存しないことを特徴とする.また,一方のOSが管理するハードウェア資源を他方のOSと共有する方式を述べる.Due to the dramatic growth of average PCs, virtual machine software for running multiple operating systems on a single system has become popular, today. Existing virtual machine softwares are built on the similar concept of the conventional VM, which has dependence of child operating systems on their mother VM. This fact causes some problems such as performance limitation and collective security. In other words, accidental stop of the mother operating system leads to the corruption of the whole family. We have been research on the new framework for solving these problems. As a key technology of the framework, this paper describes a method for switching operating system from one to another safely. Under the method, the trigger of switching is a hardware interrupt which has no dependence on any operating system. Also we propose a method for sharing hardware resource among the coexistent operating systems.
著者
乃村 能成 花田 泰紀 牛島 和夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.42, no.10, pp.2518-2525, 2001-10-15
被引用文献数
2

複数の人間がネットワークを通じて自分達の予定情報を交換する機会は,日増しに増大している.そのような場合,通常グループウェアと呼ばれるソフトウェアを利用する.しかし,インターネットを通じて複数組織にまたがる複数人の間で日程調整や予定情報の交換をする場合は,各個人の環境や利用するツールを強要することは事実上できない.そこで,電子メールやWebを使い,調整や通知を行うことが通例である.本研究では,周囲の人間が電子メールとWebしか使えない場合でも,周囲が自分と同じグループウェアを使用しているのと変わらない利便性を得る手法について考察し,それを実現するためのシステムとして,MHC(Message Harmonized Calendaring system)を設計・実装した.Recently, computer networks such as the Internet become more popular.We have more opportunities of exchanging schedule information or arranging schedules on a network. In the past, we were able to use ``groupware'' for this purpose.But nowadays, computer network is not as like the groupware demands for.This makes the situation more difficult.In this paper,we describe what kind of problems would happen when we use schedule information on a network.Then we describe their solutions.And finally, we describe how the schedule management system,MHC (Message Harmonized Calendaring system) which we are developing,works to solve their problems.