著者
由利 禄巳 兼田 敏克 東 泰弘 由利 拓真 田中 歩
出版者
一般社団法人 日本老年療法学会
雑誌
日本老年療法学会誌 (ISSN:2436908X)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.1-3, 2023-08-29 (Released:2023-09-05)
参考文献数
7

本研究の目的は,地域在住高齢者の買い物能力を評価する買い物工程分析表の内容妥当性を検証することである。COSMINに基づき関連性,包括性,分かりやすさを検討した。協議者は地域在住高齢者に携わる経験10年以上の作業療法士とした。結果,買い物準備から物品収納までの4工程10項目判定基準5段階からなる観察評価尺度を作成し,内容妥当性について合意を得た。今後は信頼性や妥当性を検討する予定である。
著者
辻 陽子 明﨑 禎輝 勝村 仁美 原 臣博 澤下 佑紀 垣崎 仁志 森 耕平 由利 禄巳 野村 卓生 平尾 文雄
出版者
保健医療学学会
雑誌
保健医療学雑誌 (ISSN:21850399)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.38-44, 2021-04-01 (Released:2021-04-01)
参考文献数
41

要旨 本研究では,在院中の統合失調症患者の3 年後の身体機能,抗精神薬投与量,転倒回数の変化を調査することにより,身体機能に対する介入の必要性について検討することである.対象者は統合失調症患者12 名(男性6 名,女性6 名)であった.年齢は64.2±5.6 歳であった.除外規定としては,車椅子レベルの者,精神疾患による認知機能障害により説明の理解が困難な者,脊椎損傷など整形疾患が原因でADL が低下している者とした.調査は2014 年8 月,2017 年9 月にそれぞれ実施した.調査項目はBMI,筋力(30 秒椅子立ち上がりテスト),バランス能力(開眼・閉眼片脚立位時間,Functional reach test,Timed up and go test),柔軟性(長座位体前屈距離),歩行速度(10m最大歩行速度),抗精神薬投与量,転倒回数であった.統計解析はWilcoxon の符号付き順位検定,対応のあるt 検定を用い分析した.結果,30 秒椅子立ち上がりテストは,初回平均17.4±4.5 回から3 年後には平均13.0±4.8 回へと,開脚片脚立位時間は,初回平均 17.0 ±18.0 秒から3 年後には平均7.7±7.1 秒へと有意に低下した (p<0.05).その他の項目に有意差は認められなかった.在院中の統合失調症患者は,3 年間の経過で,特に下肢筋力と静的バランス能力が低下していることが明らかになった.これらから,身体機能の維持・改善への介入が求められる.
著者
東 泰弘 高畑 進一 松原 麻子 西川 拡志 重田 寛人 由利 禄巳 中岡 和代 兼田 敏克
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.161-166, 2019-02-10

要旨 【背景】日本版ADL-focused Occupation-based Neurobehavioral Evaluation(日本版A-ONE)の内的妥当性を検討した.日本版A-ONEは,日常生活活動(activities of daily living;ADL)観察を通して,神経行動学的障害を同定する評価法である.【対象と方法】対象は,脳卒中の診断のある65例であった.全65例の22 ADL項目に対してRasch分析を行った.次に属性による特徴を明らかにするために右半球障害30例と左半球障害35例に分けて同様に分析した.【結果】全65例の分析では,「理解」,「表出」,「箸の使用」,「浴槽移乗」,「洗顔と手洗い」の5項目が不適合項目となった.右半球障害の分析では,「理解」,「浴槽移乗」の2つが,左半球障害の分析では,「理解」,「表出」,「箸の使用」,「洗顔と手洗い」の4つが不適合項目となった.【結語】全65例で不適合項目となった5つを除く17項目で内的妥当性が認められた.不適合項目になった理由として,特定の障害の有無で能力が決定する項目があったことが考えられた.今後は,対象者数を増やして検討する.