著者
甲原 玄秋 堀江 弘
出版者
千葉大学
雑誌
千葉医学雑誌 (ISSN:03035476)
巻号頁・発行日
vol.77, no.3, pp.145-149, 2001-06-01
被引用文献数
2

近年,清涼飲料水による歯の脱灰作用に関し種々の報告がある。そこで,今回清涼飲料水による脱灰作用を検討した。1)清涼飲料水は炭酸飲料A,炭酸飲料B,乳酸菌飲料,スポーツドリンク,ウーロン茶の5種を選択しpHを測定した。ウーロン茶の6.03を除き他の飲料は2.48から3.46と強い酸性を示した。2)交換期のため脱落したウ蝕の無い乳歯を清涼飲料水に浸潰し,経時的に観察した。歯の一部はロウで覆い,同部を同一歯の対照とした。1日後は炭酸飲料A,Bでエナメル質に白濁を生じ,3日後にはウーロン茶を除いた飲料水においてエナメル質全体が白濁した。これらは7日後にはエナメル質は脱灰し,象牙質が露出した。ウーロン茶は10日間経週後もエナメル質に変化はなかった。3)走査電子顕微鏡にて歯の表面を観察した。ウーロン茶を除いた飲料ではエナメル質が消失し,象牙質が露出し,その表面は疎造であった。ロウで覆った部分はエナメル質が残存し,ロウで覆われていない部との移行部はエナメル質の断面が明瞭に確認された。本実験の浸漬潰時間と通常の飲用では飲料水が歯に接蝕する時間は異なる。しかし,乳幼児期に哺乳瓶でこれらの清涼飲料水を頻回に摂取すると歯の脱灰を生じることが推測される。従って,乳幼死期に哺乳瓶でのこれらの清涼飲料水の投与には注意を要する。
著者
甲原 玄秋 佐藤 研一
出版者
The Japanese Society of Pediatric Dentistry
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.696-701, 1998-09-25
参考文献数
13

千葉県こども病院集中治療室で加療中であった3名の意識障害患児における下唇と舌にみられた自己咬傷の治療を行った。<BR>第1症例は15歳の男児で糖尿病性ケトアシドーシスから昏睡状態になり,反射的にまた不随意運動により下唇を噛んだことから潰瘍を形成していた。即時重合レジンを用い上顎臼歯咬合面で咬合を挙上し,口蓋を覆うスプリントを作製した。作業用模型から装置をとり易くするためリリーフワックスを使用し,装着時に粘膜組織調整材(ハイドロキャスト&reg;)でそのスペースを満たした。装置の前方には小孔をあけ細い鋼線をつけ,誤嚥防止のためそれを口腔外に出した。スプリントは患児の口腔の不随意な筋活動が消失するまで37日間使用した。<BR>第2症例は6歳の水頭症の女児で重度の肺炎に罹患し,経鼻挿管下で治療を受けていた。患児の舌は浮腫のため腫脹し,潰瘍を認めた。バイトブロック様の可撤性装置をレジンで作製し,歯列の片側に装着することで前歯部の開口を得た。6日後には潰瘍は治癒し,浮腫も消失していたため装置を除去した。<BR>第3症例は心嚢切開術を受けた5歳の男児で,舌に浮腫と潰瘍を認めた。この症例でもバイトブロック様の装置を使った。19日後,傷が治癒したため装置を除去した。<BR>意識障害患児の舌,口唇に自傷行動による傷ができた際,その状態を把握し適切な装置を作製,装着することで歯を保存し,咬傷を治癒に導くことができる。