著者
白 貞壬
出版者
日本商業学会
雑誌
流通研究 (ISSN:13459015)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.35-51, 2003

この論文の目的は、段階別戦略行動というカギ概念に注目しながら、グローバル・リテーラーの海外戦略の意思決定や戦略行動が、参入時、参入後に段階別に変化することを指摘することである。小売企業のグローバル化をめぐる理論は、ドメスティック行動からグローバル行動への戦略行動の拡大プロセスを理論的に解明しようとしてきた。しかし、小売企業のグローバル行動の中で、標準化-適応化問題という戦略行動が参入時と参入後で変化するということに対して、認識がやや希薄であった。この問題を明らかにするために、日本におけるグローバル・リテーラーであるトイザらスとカルフールの戦略行動の変化を時系列に追い、従来対立すると考えられてきた標準化-適応化戦略が参入時、参入後の段階においていかに統合されるかを分析した。
著者
向山 雅夫 崔 相鐵 白 貞壬 趙 命来
出版者
流通科学大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

従来の小売国際化の行動主体は先進国市場の先端的小売企業であったが、近年先進国市場以外の国を母国とする小売企業が国際化し始めているという動きに注目し、なぜそれが可能になるのかを明らかにした。研究の結果、以下のことが明確になった。(1)逆進出と呼ぶべき新興国企業の国際化現象が進行しつつあること、(2)逆進出する小売企業は必ずしも発展途上国を母国とする企業であるわけではなく、従来海外小売企業に進出される国を母体とする企業の国際化行動を逆進出と捉えことができること、(3)逆進出は、母国に進出した先端的小売企業と現地新生小売企業との競争的相互作用の結果としての後者の競争優位獲得によって可能となること。