著者
竹村 暘 白木原 国雄
出版者
長崎大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1989

1.分布・行動(1)大村湾当海域での発見例が極めて低いが、目視調査への協力者が増えた結果、湾内でスナメリが季節的に移動していることが伺がえるだけのデ-タの蓄積が出来た。即ち、冬期の湾奥にあたる南東部への集中と夏期における分散が伺えた。ただし発見数が極めて少ないため、正確に回遊を把握することはできなかった。(2)有明海・橘湾本海域では3年近いデ-タの蓄積から、各調査コ-ス毎に独特な季節変動が繰り返されていることが明らかになった。即ち、有明海奥部と橘湾との間を季節的に移動し、冬期には有明海奥部に集中する傾向がみられた。この移動は主に岸から2マイル以内を使って行なわれている。2.漁業との関連性本種は小型の魚類や軟体動物,甲殻類など多様な生物を餌としている。大村湾ではこれら餌となる生物の漁獲量が年々減少しており、発見数の減少と合わせて心配されている。有明海、橘湾ではさほどの減少は見られていない。また、餌生物への選択性に乏しく、、漁業との競合は少ない。3.生活史新生仔及び胎仔の状況から、本種の出生時期は秋から冬にかけてのかなり長い期間であることが推察された。冬期の集中行動と出生時期からこれらの間には深い関係があることが伺がわれた。雄は雌に比べて早く成熟する。今回の最高会の個体は雌で255才であった。4.資源量資源量を絞り込むことは出来なかったが、大村湾では数十から百といった危桟的な状態と考えられるし、他でも決して多くはない。
著者
松田 紀子 白木原 美紀 白木原 国雄
出版者
日本水産學會
巻号頁・発行日
vol.77, no.1, pp.8-14, 2011 (Released:2012-12-06)

天草下島周辺海域に周年定住するミナミハンドウイルカTursiops aduncusを対象としてイルカウォッチング船が群れの行動に及ぼす影響を調べた。陸上定点から群れの行動観察を行い,群れの位置をセオドライトで計測した。個体が間隔を詰めて同調的な潜水浮上を繰り返す時,ウォッチング船が1隻でも存在すると,不在時に比べて潜水時間が長くなり,浮上中の速度が増加した。4,5隻以上存在した時,潜水地点から浮上地点までの距離が増加し,浮上時間が減少した。群れに接近可能な隻数制限の導入が必要である。